ASUSTeK Computerが「Eee PC」を発売し、低価格ノートPC事業という領域への華々しい進出を遂げてから、1年が経過した現在、世界第2位のPCメーカーとなるDellが、ついに腰を上げた。
すでにCNET Newsが、米国時間9月2日に報じていたように、「Dell Inspiron Mini 9」が、4日に正式発表された。これにより、IntelのAtomプロセッサで稼動する超小型軽量ノートPCの「Netbook」カテゴリへと、初めてDellは進出を果たした。
Hewlett-Packard(HP)やAcer、他の数多くの中小メーカーは、ここ数年で、PC事業における最も画期的な成長を遂げるに至った(Netbook)市場へ、すでに何カ月も前から参入している。しかしながら、Dellが、このNetbookカテゴリへと進出し、意義あるインパクトを与えることを目指すのは、少し遅すぎるのではないだろうか?さらに、Dellにとって、この時期に新たに参入することなど必要であろうか?
Netbookというカテゴリが、大きな成長を遂げる可能性があるのかどうかに関しては、だれに尋ねるかで答えも分かれてくる。Gartnerは、2008年に520万台のNetbookが販売されることになり、その販売台数は、2012年には5000万台に達すると予測している。一方、IDCは、かなり異なった予測を出しており、2008年は350万台、2009年は500万台、2012年には920万台に達するに過ぎないとしている。
Netbookカテゴリは、一般的なPCユーザーにとっても、混乱を招くものとなる可能性がある。Netbookは、基本的にノートPCのフォームファクターを縮小したものではあるが、一般的なPCユーザーの期待どおりには稼動しないことがある。とりわけ、普通よりも小型の液晶ディスプレイ、小型のキーボード、低容量のストレージしか持ち合わせていない。
そういうわけで、Dellは、この種のデバイスに消費者が期待する点を調整すべく、多大の努力を払っており、いくつか異なるオプションも提供することにしている。
Dellの小型液晶コンシューマーデバイス部門バイスプレジデントであるJohn Thode氏は「われわれは小型PCを製造したのではない。超小型モバイルデバイスを製造したのだ。多くのPC機能を搭載してはいるものの、あらゆる面でPCを再現することが目指されているわけではない」と語っている。
消費者が、Netbookカテゴリに抱いている期待感の調整を図ろうとするのは良いアイデアだが、それでも、新たなMini 9が、Netbookカテゴリに分類されるという事実を変えるわけではない。
販売価格も、この調整を必要とする原因となっている。Dellは、Mini 9を、単に短時間でインターネットへアクセスし、電子メールを送り、いくらかVoIP通話をかけるためだけに使用するモバイルデバイスとして、つまりは、「Blackberry」や「iPhone」のサイズを大きくした位置づけのデバイスとして、販売していきたいと考えている。Mini 9の最も安いバージョンは349ドルで販売され、4GバイトのSSDとUbuntu Linuxを搭載している。一方、16GバイトのSSD、Windows XP、ウェブカメラなどが搭載される、フル装備バージョンの価格は599ドルで、これまでDellが販売してきた、フルサイズのノートPCの価格帯とも、ほぼ同じになる。たとえば、Dell.comでは、15インチの「Inspiron」が499ドルから販売されている。「小型ノートPCではないのだ」とのスタンスで、Mini 9を販売することにより、Dellは、Netbookの販売が、一般的なノートPCの販売を落とす危険性を避けようとしている。
Netbookというブランドを、(ノートPCから)引き離すのは、かなり難しくなってきているが、Dellは、この製品で、新たに洗練されたアプローチを採用した。Box.netと提携して、無料のオンラインストレージを提供するほか、カスタマイズ可能なオプションを用意したのだ。
だが、事業戦略という観点からは、これがDellのビジネス全般に及ぼす影響は、現在のところ不明である。直近の決算発表が示しているように、低価格戦略は、Dellのコア事業へもダイレクトに影響を及ぼすようになってきた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」