より優れた画像フォーマット技術が必ずしも成功するとは限らない。JPEG 2000もその一例だ。JPEG 2000という名称は、JPEGと同様に、開発元であるJoint Photographic Experts Groupにちなんで付けられた。JPEG 2000は圧縮品質でJPEGよりも優れていたが、あまり普及していない。同様に、PNG(Portable Network Graphics)フォーマットもGIF(Graphics Interchange Format)の問題点が修正されているが、GIFに取って代わるまでには至っていない。
カメラメーカーにも、自社製品へのサポートの組み込みに慎重になる理由がある。
Olympus Imaging AmericaのプロダクトマネージャーであるSally Smith Clemens氏は、「JPEGは業界標準であり、そのアーキテクチャ内にさまざまな品質レベルがある」と述べ、さらに次のように続けた。「取って代わろうとするフォーマットが、実用レベルに達し、(メーカーに導入を)検討されるためには、多くのハードウェア、ソフトウェア開発者からの幅広いサポートが必要だ」
さらに事態を複雑化させているのは、JPEGに不満を持っており、HD Photoを称賛する可能性が最も高い写真愛好家たちが、すでにJPEGに代わる別のフォーマットを採用してしまっている点だ。そのフォーマットとは、カメラのイメージセンサから直接受け取った詳細な未加工データを提供するRAW画像フォーマットだ。Adobeは、同社のDNG(Digital Negative)フォーマットを通じて、混乱するほど多数存在するRAWフォーマットを標準化しようとしている。
しかし、恐らくHD Photoにとっての最大の障害はJPEGの勢いだろう。仮にMicrosoftがHD Photoの人気獲得に成功しても、JPEGに取って代わるというのは全く別の大きな難関だ。
「(HD Photoを)JPEGに取って代わるフォーマットに育てるというのは、極めて壮大な取り組みだ。というのも、人々はJPEGを大変重宝しているからだ。JPEGはオープンスタンダードであり、あらゆる場所、あらゆる機器、あらゆるブラウザ、あらゆるワークフローでサポートされている」(Connor氏)
しかし、デジタル画像編集に関する数冊の著書を持つEddie Tapp氏は、一般の写真家はHD Photoに興味を持つのではないかと考えている。コンパクトカメラユーザーたちでさえも、特に昔の写真を見返す時のことを考え、画質を重視している、と同氏は指摘する。
Tapp氏は、「いつの日か『あなたが撮ったあの山の写真だけど、もっと大きなものがほしい』と言われる日が来る」と語り、「それから、自らが撮ったイメージファイルを見返して『もっと高解像度なカメラかファイルにして保存しておけば良かった』と悔やむことだろう」と述べる。
Microsoftはすでに、6年以上もHD Photoの開発に取り組んできた。そしてまだ、時間がかかることも認識している。「受け入れられるにはまだ時間がかかるだろう」(Weisberg氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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