携帯電話端末メーカーは、2006年の末までに10億台の端末を出荷する見込みだ。しかし、この販売記録はトップメーカーにとって必ずしも大きな利潤を意味するわけではない。
世界の主要な携帯電話メーカーであるNokia、Motorola、サムスン、Sony Ericsson、LG Electronicsは、2006年の第3四半期に合わせて2億5490万台の端末を出荷している。これは第2四半期に比べ7.9%、2005年の第3四半期に比べ約21%多い数字である。IDCによれば、現在の出荷増加の傾向が今後も続けば、2006年の終わりまでには10億台目の端末が出荷されることになるという。
「もしこの売り上げの好調が続いた場合、2006年末には端末の出荷台数が9億9800万台という当初の推計を上回る」と、IDCのリサーチアナリストであるRyan Reith氏は言う。「携帯電話に限らないことだが、10億個の商品を出荷する産業というのは非常に大きなものだと言える。しかし、今本当に重要なのはその成長率を見ることだろう」
Reith氏によれば、携帯電話端末の出荷台数はこの市場が1990年代に登場してから、毎年継続的に伸びてきているという。IDCの統計によれば、携帯電話メーカーは2005年には8億3320万台、2004年には7億1400万台の端末を出荷している。
しかし、携帯電話端末の出荷が大台を記録する一方で、二大携帯電話事業者にとっては、この伸びは必ずしも利益に結びついていない。
世界2位の携帯電話端末メーカーであるMotorolaは、米国時間10月17日、端末の販売数は2005年の第3四半期に比べ39%伸び、5370万台になったと発表した。これによって同社の売り上げも17%の伸びを示したが、利益は前年度比で45%縮小した。
世界1位の携帯電話端末メーカーであるNokiaは、米国時間10月19日、2006年第3四半期には8850万台の端末を出荷したと発表した。これは、同社が2005年の同期に出荷した数の3分の1の増加にあたる。第3四半期の売上高も20%の伸びを示し、2005年同期の84億ユーロ(106億ドル)から101億ユーロ(127億ドル)になった。しかし、Nokiaの発表では、純利益は前年同期の8億8100万ユーロ(11億1000万ドル)から、8億4500万ユーロ(10億6000万ドル)に縮小している。
出荷台数が増加しているにもかかわらず、利益が減少している原因は何だろうか。理由の1つに挙げられるのが、中国やインドをはじめとする発展途上国市場で端末が非常に安い値段で売られていることだ。この傾向はNokiaで特に顕著にみられる。Nokiaは機能が基本的なものに限定された携帯電話を1台当たり40ユーロ(50ドル)以下で販売している。その結果、Nokia製携帯電話の平均販売価格は第2四半期の102ユーロ(128ドル)から、最近では93ユーロ(117ドル)に落ち込んでいる。
Nokiaでは状況を改善すべく、欧州をはじめとする発展途上国以外の市場にスマートフォンやマルチディア機能を搭載した携帯電話を積極的に売り込んでいる。Motorolaも収益性の高い携帯電話の販売に力を入れている。Motorolaは電話会議で、RAZRシリーズを拡大していくと述べている。またMotorola Qの売上増加にも期待していると同社は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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