レザー、クローム、ウッドを使用したデザインで・・・などと書くと、ファミリー向けのステーションワゴンを売り込んでいるように聞こえるが、Dow Chemicalのある事業部が開発した技術を使えば、ノートPCの外装にもこれらの素材を選べるようになる。
Dow Chemicalの子会社であるInclosia Solutionsは、Exoオーバーモールドという工程を開発した。これはPCのきょう体に繊維や皮、金属を付着させる技術で、これまでにもMicrosoftの革装IntelliMouseなど小型電子機器の生産に利用されたことはあったが、Inclosiaは今回ノートPCのきょう体の設計と製造に着手することになった。
復活したオランダのPCベンダー、Tulip Computersの販売事業部であるTulip Distribution International Holdingでは、革や繊維素材をあしらった「E-Go」というノートPCの6種類のプロトタイプを発表している。これらのモデルは、まず欧州で2005年10月に発売されるが、TulipではE-Goをほかの市場に投入する手段も検討していく、と情報筋は語っている。
さらに、中学生の頃に使っていたLevi'sのバインダーが懐かしい人向けに、Exoプロセスではデニム地のオプションも用意されている。そのほか、ロゴの刺繍飾り、留め金、締め金、飾り、そしてマジックテープのオプションまである。
ハードウェアメーカーのなかには、パソコンをファッションアイテムにすることで経営を立て直すことに成功した例もある。Appleはオリジナル版iMacを1998年に登場させ、復活への道を歩み始めた。同様に、PCが不調だったソニーも、Vaio 505というメタルケースの薄型ノートPCをiMacとほぼ同時基に市場に投入し、ノートPCの市場シェアを拡大させていった。
また、最近ではAcerがノートPCで軽量なモデルや斬新なデザインのモデルを出し、世界でもっとも成長率の高いPCメーカーの1つになっている。
Tulipは数十年前は有力なブランドだった。当時の同社は、米国ではCommodore PCを販売し、欧州ではさまざまな PCを販売していた。しかし、IDCアナリストのRoger Kayによると、同社は1990年代後半に財政状況が混乱し、出荷台数が落ち込んでしまったという。
同社はその後、地元の起業家であるHuub van den Boogaardに買収された。
「欧州の人々はTulipブランドを覚えていて、好ましいイメージを抱いていた」(Kay)
Van den Boogaardは当初、Tulip PCでハイエンドの専門小売店を狙い、宝石をちりばめたノートPCを作り出した。このように斬新なノートPCの市場は限られているが、それがスタイルを維持しながらユーザー層を拡大する同社の取り組みを促進することになった。
「コンピュータメーカー各社は仕様と価格で競争しているが、一方でカスタマイズされたデザインのコンピュータにプレミアムを支払うことをいとわないユーザーも増えている」とvan den Boogaardは述べている。
InclosiaのTom Tarnowski(グローバルマーケティングマネージャ)によると、Exoの工程は、射出成形の課程でプラスチックに自然素材の外装を付着させる作業で、そのため革が接着されているわけではないという。また、繊維がはがれず、曲面にも対応し、しわを残さず曲げられるため、そこが重要な違いになるという。
「この技術を使えば、自然素材も永久にはがれない。一般的には、通常のきょう体の2ドル増しで実現できる」(Tarnowski)
この2ドル程度のコストが、利益の増加に大きく役立つ場合もある。たとえば、Microsoftの革装IntelliMouseは、通常のモデルの2割増の値段で売られていると、Tarnowskiは指摘した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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