家電のデジタル化に伴い、ストレージデバイスが家電の商品特性を決める大きな要因の1つになってきた。なかでも近年注目されているのがHDDだ。
これまでPCやサーバなどのストレージとして利用されてきたHDDも、小型化、低価格化が進んだことで家電に搭載されるようになってきた。代表的な製品としては携帯オーディオプレイヤーやHDD内蔵型DVDプレイヤーが挙げられる。HDDの大容量化により、ユーザーはコンテンツをとりためておいて、いつでも好きなときに楽しむようになってきた。
iPod miniの人気にHDDの供給が追いつかず
今年前半に最も注目を集めたのはAppleのiPodだろう。今年1月に小型で5色のカラーバリエーションを持つiPod miniが米国で発表され、2月の出荷日までに10万台以上の予約が集まるほどの人気となった。HDDの供給が追いつかず、AppleはiPod miniの米国外での発売を4月から7月に延期したほどだ。iPod miniは1インチHDDを搭載し、容量は4Gバイト。供給ベンダーは日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)と言われている。
日本でも発売前から予約が殺到し、7月24日の発売日にはアップル直営店「Apple Store, Ginza」に長蛇の列ができる騒ぎとなった。日本での販売価格は2万8140円。現在、同社のオンラインストアでiPod miniを購入しようとすると4〜6週間待ちとなる。アップルコンピュータ プロダクトマーケティングの小西達矢氏は「米国でもまだ品薄状態が続いている。日本でも発売から1〜2カ月は十分な供給ができないだろう」と話す。8月28日には、京セラがiPod miniと同色のデジタルカメラをアップルストアで発売する予定もあり、しばらくはiPod miniブームが続きそうだ。
2001年10月に初代が登場した白色のiPodも、7月にモデルチェンジを行った。第4世代となる今回の製品はiPod miniと同じ操作ホイールを搭載し、連続稼働時間を約12時間に向上させた。価格は40Gバイト版が4万4940円。米Hewlett-Packard(HP)もHPブランドのiPodを9月に米国で発売する予定だ。iPodは東芝の1.8インチディスクを採用している。
iPodは2001年10月の発売以来、累計で300万台以上売れているという。Appleの2004年第3四半期(4〜6月)の売上は前年同期比30%増の20億1000万ドル、純利益は同3倍の6100万ドルとなった。同四半期におけるiPodの販売台数は86万台で、Macintoshの87万6000台に匹敵する事業に成長している。同社は組織をMac部門とiPod部門に分割する計画だ。
ソニーもHDD搭載機種を立て続けに発表
iPodの成功を受け、ウォークマンの生みの親であるソニーもついに動いた。今年に入り、立て続けにHDD搭載プレイヤーを発表している。1月にアイワブランドのHDDオーディオプレイヤー「HZ-WS2000」を発表したのを皮切りに、5月にはカラー液晶を搭載したVAIO pocketと動画再生が可能な「HMP-A1」、7月にはネットワークウォークマン「NW-HD1」をお披露目した。なお、ソニーはHDDメーカー名を明らかにしていない。
今年はウォークマン誕生から25年目にあたり、ソニーがHDDウォークマンにかける期待は大きい。 ソニー 取締役 代表執行役 社長兼グループCOOの安藤国威氏は「半年から1年でAppleを追い抜く」と意気込む。複数のHDD製品が同時に製品化されたことについては、「VAIOやウォークマンにはそれぞれファンがいる。ニーズの異なるユーザーごとに違う対応をしたほうが親切だ」と話し、ユーザーニーズに応えた商品だと自信を見せている。
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