ソニーは1月14日、アイワブランドの新たな商品群「USBオーディオ」シリーズを発表した。USBポートを利用してPCに接続し、簡単にデータを転送できる点が特徴。同時にMP3プレーヤーや名刺サイズのHDDオーディオプレーヤー など新商品12機種を報道陣に公開した。
USBオーディオシリーズとして今回発表されたのは、USBストレージメディア「pavit(パビ)」を利用したUSBメモリプレーヤー5機種とデジタルカメラ1機種、名刺サイズのHDDオーディオプレーヤー2機種、PCとつないで利用するスピーカーシステム3機種、ヘッドホン型のメモリプレーヤー1機種の合計12機種。2月以降、全世界で順次発売される。ソニーではUSBオーディオシリーズ全体で、初年度100万台の売上げを見込んでいる。
ソニーは2002年2月にアイワの100%子会社化を発表。その後12月1日付けでアイワを吸収合併した。2003年1月にはアイワのロゴを刷新し、エレクトロニクス事業を強化・拡大するとしていた。
アイワは従来セットステレオなどのオーディオ製品を得意としていた企業だ。しかしそのセットステレオ市場は、現在先進国を中心に縮小傾向にある。ソニー アイワビジネスセンター プレジデントの平内優氏はこの点について、「ユーザーの音楽の聞き方が変わってきた」と指摘する。PCを音楽機器として利用するユーザーが増えてきたというのだ。「このライフスタイルの変化をとらえてこなかったことが、アイワが苦境に陥った原因ではないか」(平内氏)
そこでソニーでは、PCと簡単に接続して音楽を楽しめるUSBオーディオをアイワの成長エンジンと位置づけ、アイワのブランド向上とビジネス拡大を図る方針だ。
アイワブランドではメモリスティック、ATRAC3を採用せず
USBストレージメディア 「pavit(パビ)」 | |
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まずUSBメモリプレーヤーとしては、丸型の「AZ-ES256」(市場推定価格2万3000円前後)、FMデジタルチューナを搭載した「AZ-RS256」(同2万6000円前後)、ヘッドホン型の「AZ-HS256」(同2万3000円前後)と「AZ-FS256」(同未公表)、防まつ設計でお風呂でも利用可能な「AZ-BS32」(同未公表)がある。
これらの製品はいずれも音楽を保存したpavitを端末に差し込んで利用する。再生オーディオフォーマットはMP3のみ。本体には256MBのpavitが付属しており、MP3フォーマットで約60曲保存できるという。pavitは別売りもされており、容量128MBの「AZ-RM128P」(市場推定価格6000円前後)と同256MBの「AZ-RM256P」(同1万1000円前後)がある。
USBメモリプレーヤー 「AZ-ES256」 | |
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ソニーではメディアとしてメモリスティックを、再生オーディオフォーマットはATRAC3を採用するのが一般的だった。今回USBメモリとMP3を採用した理由について、平内氏は「我々にとって最大のミッションは、アイワブランドを再生させることだ。メモリスティックやATRAC3を使うとなると、限られた商品展開になってしまう」と話す。ソニー 執行役 副社長の高篠静雄氏も「標準技術を自由に使えるのがアイワブランドの1つの特徴ではないか」と語っており、アイワブランドではメーカーを問わず広く利用されている標準フォーマットを採用することで、より多くのユーザーに新商品を売り込む狙いのようだ。
音楽の著作権管理については、PCからpavitへのデータ送信に専用ソフトを使うことで解決した。「Music Transfer」という音楽データ管理用ソフトを使うことで、MP3のフォーマットを独自フォーマットに変換する。これにより、pavitに入ったデータを他のPCで再生しようとしても、MP3フォーマットとして認識されなくなるという。
1インチのディスクを採用したポータブルHDDプレーヤー
ポータブルHDDプレーヤー「HZ-WS2000」 | |
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ソニーでは他にも、ポータブルHDDプレーヤーの「HZ-WS2000」「HZ-DS2000」(いずれも市場推定価格3万5000円前後)を発表している。1インチのHDDを採用し、名刺サイズで厚さ10.6mm、重さ約68gの 「世界最薄、最軽量」(平内氏)という。HDDの容量は2GBで、約500曲分の楽曲が保存できるとしている。
小型ポータブルHDDプレーヤーの市場を切り開いたAppleは、先日1インチの4GBディスクを利用したiPod miniを発表したばかりだ。ソニーの新製品が2GBのディスクを採用した理由について、平内氏は「この大きさ、薄さ、重さを実現するには2GBが最大だった」と説明する。ライバルとなるiPod miniについても、「5GB以下のポータブルHDDプレーヤー市場が拡大するのでは」(平内氏)として、歓迎の意向を示した。
PCとつないで利用するスピーカーシステムとしては、5.1chサラウンドの「UZ-US501」(市場推定価格3万3000円前後)、3.1chサラウンドの「UZ-US301」(同2万3000円前後)、1ボックスタイプの「UZ-US201」(同1万8000円前後)の3機種が発表された。UZ-US201は幅267mm、高さ192mm、奥行き103mmと小型でPCの液晶ディスプレイの背面などに置ける点が特徴。
その他、ヘッドホン型のメモリプレーヤーとして、「UZ-PS128」(市場推定価格1万5000円前後)も発表されている。128MBのフラッシュメモリを内蔵し、音楽を聴きながら内蔵メモリに保存することができる。アナログ入力録音機能を備えているため、オーディオ機器と接続することも可能だ。
アイワブランド初のデジタルカメラとなる「AZ-C7」(市場想定価格2万5000円前後)はpavitを利用する。付属のPCアプリケーション「PhotoDiary」を使うと、画像が自動的に整理され、撮影した日付によってカレンダーに割り当てられる。有効画素数は204万画素。ソニーでは自分の毎日を記録する写真日記のためのカメラとして同製品を訴求していく方針としている。
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