国土交通省の設置した「自律的移動支援プロジェクト推進委員会」は24日、都内にて第1回の推進委員会を開催した。同委員会は、個人として自律的に移動することが困難な人をITによりサポートするための取り組みを進めるとして設立されたもので、東京大学教授の坂村健氏が委員長を務める。
委員には、坂村氏のほかに慶應義塾大学教授の川嶋弘尚氏、東京大学名誉教授の月尾嘉男氏といった学識者や、兵庫県知事の井戸敏三氏、神戸市長の矢田立郎氏など地方自治体の代表者など16名。もちろん国土交通省や近畿運輸局などからも委員が選出されている。
東京大学教授 坂村健氏 |
ほかにも民間企業や団体が技術的な支援を行うためにサポーターとして参加している。サポーターには、NEC、NTTドコモ、KDDI、日本オラクル、日立、富士通、ボーダフォン、マイクロソフトなどが含まれ、現在31団体。今後も参加希望企業の参画を求めていくという。
委員会の下では、実証実験ワーキンググループ、サービスワーキンググループ、要素技術ワーキンググループ、インフラ整備ワーキンググループという4つのワーキンググループが設置される予定。実証実験ワーキンググループでは、実験内容やスケジュールを決定し、進行管理および事後評価などを行う。サービスワーキンググループでは、移動支援を行う項目やその方法を検討する。要素技術ワーキンググループでは、ICタグの仕様や提供すべき情報など技術的な検討を行う。インフラ整備ワーキンググループでは、道路構造やICタグ配置などを整備するためのハード面における検討や、法律面やセキュリティポリシーなどを決めるソフト面での検討を行う。
今回のプロジェクトでは、モデル地区として神戸が選定されている。神戸が選ばれたのは、2005年に神戸空港が開港されることや、同年に国際障害者会議「チャレンジド・ジャパン・フォーラム」が神戸で開催されること、さらに阪神淡路大震災より10年たったいま、災害に強い安全な街づくりに取り組む同市の思いを世界に発信することに意義があるという理由からだ。3月18日には神戸プロジェクトチーム発足準備会が開催されており、2005年度にはITを活用した経路案内システムの実証実験が開始される予定。2006年度以降に同プロジェクトで得られた成果を元に全国展開を目指すという。
委員長の坂村氏は、「アメリカではいま、ユビキタスコンピューティングをサプライチェーンで利用するということに注目が集まっているが、アメリカとは文化も規模も違う日本において、別の観点から技術貢献できる分野を見いだすことも重要だ。今回のプロジェクトは、街中にコンピュータを設置し、街全体でユビキタス技術を使うという点が特徴。研究開発のみで終わらせるのではなく、ユビキタスコンピューティングの最強国家として世界貢献していきたい」と語った。
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