IBMのコグニティブコンピューティング能力を利用して睡眠パターンを監視し、研究者が睡眠の質と全体的な健康状態の関連性を調べるのを支援する新しい「iOS」アプリ(「Apple Watch」および「iPhone」向け)が登場した。
このアプリは「SleepHealth」という名称で、加速度センサやジャイロスコープ、心拍数モニタを含むApple Watchのセンサ群を使って、ユーザーの睡眠状況を記録する。SleepHealthはAppleのオープンソースの「ResearchKit」フレームワークをベースに構築されていて、参加者はSleepHealthアプリから直接調査結果を送信することができる。
医師と研究者はSleepHealthアプリと、米国睡眠時無呼吸協会(American Sleep Apnea Association:ASAA)による関連モバイル調査を利用して、睡眠の質と注意力、生産性、全体的な健康状態、病状の関係を調べる。
アプリユーザーが提供したデータは「Watson Health Cloud」に保存される。研究者はそこで分析を行い、データのパターンや関係性を調べる。「Watson Analytics」を使って、そのデータをさらに詳しく調べることも可能だ。
SleepHealthは、データが豊富なWatson Health Cloudで実施される初めてのResearchKit調査である。
米疾病管理予防センター(CDC)によると、米国人の10%が慢性不眠症を患っており、2500万人が閉塞型睡眠時無呼吸に苦しんでいるという。慢性的な睡眠不足は、その原因が病気であれライフスタイルであれ、心臓病や高血圧、肥満、がん、うつ病のリスク増大と関連がある、とCDCは述べた。
「Personal Sleep Concierge」や「Nap Tracker」など、SleepHealthの一部機能は特にApple Watchを想定して設計されており、良好な睡眠習慣の定着を促す。「iOS 9.3」で、SleepHealthはAppleの新機能「Night Shift」を利用する最初のResearchKitアプリになる。Night Shiftは、就寝前に画面のブルーライトを軽減する機能だ。
数年間データを収集した後、研究チームは睡眠に関連するさまざまな健康問題について、パーソナライズされた、あるいは公的な健康プログラムを開発したいと考えている。例えば、重要な試合の前にアスリートがトレーニングを最適化できるように支援する、職場での疲労を軽減する、アルツハイマー病や精神疾患の初期症状を検知する、といったことが考えられる。
SleepHealthアプリは米国の「App Store」から無料でダウンロードできる。IBMによると、プライバシー保護のため、被験者の名前は研究データから削除されるという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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