「2008年9月期には単月黒字化する」--数値で見るニコニコ動画の強さ - (page 2)

永井美智子(編集部)2007年10月10日 23時48分

10万人の有料会員、1800万円のバナー広告売上

 ニコニコ動画の収益源は現在、有料会員費、バナー広告、「ニコニコ市場」というAmazon.co.jpへのアフィリエイトリンクがある。ニワンゴによれば、いずれも順調に伸びているとのことだ。

 月額525円の「プレミアム会員」と呼ばれる有料会員の数は10月9日時点で10万3000人で、2カ月半でおよそ倍になっている。バナー広告の売上は9月時点で月間1800万円で、前月比約1.8倍。ニコニコ市場の売り上げについては明らかにしていないが、9月上旬時点で1日約5000点の商品が売れているという。

ニコニコ動画のバナー広告の売り上げ ニコニコ動画のバナー広告の売り上げ。7月以来順調に伸びている

 ここでニコニコ動画の1カ月の売り上げを簡単に試算してみよう。有料会員からの収入は約5400万円。バナー広告は前述の通り1800万円。ニコニコ市場での平均売上単価を仮にAmazon.co.jpで配送料が無料になる1500円とすると、アフィリエイト料は7%のため、(1500円×5000点)×7%×31日=約1600万円がニコニコ市場でのアフィリエイト収入となる。すべてを合わせても8800万円程度だ。かつてForbesの試算でYouTubeの回線費用が月額100万ドル(邦貨換算で約1億2000万円)とされていたことを考えると、これだけで運営費用が賄えるとは言いがたい。さらには、年間約200億円を売り上げるドワンゴから見て、この額は満足できる規模とは言えないだろう。

コンテンツホルダーとの共同事業で収益拡大

 そこで新たにニワンゴが力を入れるのが、コンテンツホルダーとの共同事業だ。ニコニコ動画内に公式動画コーナーを設立し、コンテンツホルダーから供給された番組を公認動画として提供する。

 すでにViacom International Japan(VIJ)とは、コンテンツホルダーと共同でブランドメディアを構築し、そこに広告を掲載することで新たな収益を上げると発表している。

 ほかにも、動画に関連する商品やサービスに誘導することでECによる売り上げをたてたり、コンテンツホルダーから許諾を得た動画を他社にライセンス提供する形で、独自の有料視聴サービスを展開したりする構想を持っている。

 VIJはニコニコ動画について、ユーザーのアクティブ度合いが高い点、違法コンテンツの監視システムが整っている点を評価したと話す。監視体制やシステムの機能をさらに強化するとともに、ユーザーへの啓蒙活動を進めることで、ニワンゴはコンテンツホルダーとの提携を広げたい考えだ。

 ドワンゴは企業理念を「ネットに生まれて、ネットでつながる」とした。ネットで知り合ったゲーム開発者が集まって創業した企業が、ネットに生きる人と人をつなぐ存在になる――ニコニコ動画はそのプラットフォームとして、ドワンゴグループの中核に位置づけられた。目指すのは、ネットにおいて「ユーザーが人間らしく生きるために大切にしたいと思うようなサービス」(ニコニコ宣言(仮)より)だ。

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