さらにGoogleは、同プロジェクトは出版社の売上増加に貢献し、宣伝効果も期待できるものだと強調している。また、どこで書籍を購入できるのかに関する情報も提供するという。
「(書籍を検索できるウェブページの)一角に、広告を掲載するスペースを設けている。われわれのオンラインサービスの利用者は何百万人にもおよんでおり、そうした大量の検索ユーザーが書籍を購入するようになる可能性はきわめて高い」(Whetstone氏)
同氏は、Googleは書籍の表示方法に工夫を施しているので、プロジェクトが著作権法に抵触するとは言い切れないとしている。「書籍を検索可能にする過程で、われわれはまず作品全体の索引を作成している。これに基づいて、作品の断片を表示する方法を取っている」(Whetstone氏)
一方、Publishers Associationの弁護士であるJones氏は、「Googleは書籍全体を複製しているではないか」と指摘した。
対するWhetstone氏は、「それがなければ検索エンジンが機能しない。まずスキャンして、その後にインデックス化するのである」と反論している。
さらにJones氏は、「(著作権侵害を証明する)責任を負うのは著作権所有者だが、Googleは著作権所有者に断りなく大量のデジタルファイルを製作している。Googleのような強大な力を持つ組織は、書籍の完全な複製を所有しており、多数の図書館に利用させている」との意見を述べた。
再びWhetstone氏が登場し、「当社に対するさまざまな見解があるのはわかる。だが、プロジェクトの是非は裁判所が決めることだ。われわれは、同プロジェクトが著作権法に違反していないと信じている」と答えた。
大英図書館の館長であるLynne Brindley氏は、Googleと既存の出版産業が対立するのも無理はないと言う。
「検索エンジン側と著作権所有者の利益は必ずしも一致しない」(Brindley氏)
Laurence Kaye SolicitorsのLaurie Kaye氏は、「商業を営む人々は、みずからの商売道具をコントロールする力を失うのをおそれている。(出版社であれば)作品の内容がデータベース化され、他社のサービスで利用されることを不安に思うだろう。ただ、Googleが進めているプロジェクトの合法性については、踏み込まないでおく」と話し、Brindley氏の意見を補足した。
Googleは一連の議論に対して、同社はコンテンツプロバイダーではなく、他社のコンテンツの紹介者であると主張した。
「Googleは、他社のコンテンツを探しやすくするための手伝いをしている。(コンテンツを利用してビジネスを営んでいる人々の)懸念は、すでに解消できたと考えている」(Whetstone氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス