野村総合研究所(NRI)は、日本のマニア消費者層を対象とした市場規模推計と実態に関する調査を行った。調査対象はアニメ、コミック、ゲーム、アイドル、組み立てPCの5分野。調査の結果、5分野全体におけるマニアの消費規模が約2900億円に達すること、組み立てPC以外のコンテンツに関連する4分野では、市場規模全体に対して金額ベースで11%を占めることなどがわかった。
5分野のマニア消費者層の規模は各分野に人口の重なりはあるものの、最大がコミックの人口100万人/市場規模1000億円。次いで、ゲームが80万人/780億円、アイドルが80万人/600億円となっている。アニメは20万人/200億円、組み立てPCが5万人/320億円だ。
各マニア消費者層には、細かい定義が行われている。例えば、コミックマニアは「同人誌即売会に参加する、あるいは同人誌を執筆する層」としているため、市販のコミック雑誌や単行本を買い集めるだけの層は含んでいない。かなり狭義な定義であるにもかかわらず、人口規模・市場規模ともに大きいことがわかった。
マニア層は、独自の価値観に基づいて金銭および時間を優先的に配分する消費行動や、自己流の解釈に基づく世界観の再構築と二次的創作活動を繰り返す傾向がある。また、インターネット利用率と情報発信能力が高く、社会的影響が強いこと、関連分野をまたいで集団を形成することなどが明らかになった。これらのマニア層は購買意欲が高いだけでなく、次世代技術や新商品の実験対象として価値もあり、すでに「ニッチ」とはいえなくなっている。
NRIでは、今後も対象分野を自動車、AV機器、旅行などに広げてマニア消費者層の行動実態の調査分析を進め、そのビジネス的価値を探るとしている。
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