ロサンゼルス発--ゲーム機市場での、リビングルームの覇者を目指す戦いは、しばらくお預け状態のようだ。ソニーと任天堂の関心はいま携帯ゲーム機に移っている。
当地で開催されたE3ゲームショーで、両社の新しい携帯ゲーム機が大いに注目を集めた。ソニーは今回初めてPlayStation Portable(PSP)の動作可能なプロトタイプを披露したが、このワイドスクリーンを搭載する携帯ゲーム機は音楽や映画も楽しめる。これに対して任天堂でも、驚くほどのパワーを秘めた携帯ゲーム機「DS」を紹介した。
両社も、そして各々のプラットフォームに製品を供給するゲームソフトメーカーも携帯ゲーム機市場を拡大し、主なユーザー層である子供やティーンエイジャー以外にも拡げたい考えだ。現在これらのユーザーの大半は、圧倒的な優勢を誇る任天堂のGame Boy Advanceを購入している。
新たに登場したゲーム機は、高い計算能力を持つ反面、価格のほうも比較的高価なことから、両親が簡単に子供に買い与えるとは思えない。それよりむしろ、初期の購買層は自分の小遣いで買うことができる若者になると思われ、ゲームもシューティングやスポーツアクションなど、彼らが好みそうなものになるだろう。
Sony Computer Entertainment AmericaエグゼクティブバイスプレジデントのAndrew Houseは、PSPが携帯ゲーム機の世界を変えると断言する。
「新しい市場に参入し、その市場を拡大して、新しい顧客をつくりだす。それがソニー流のやり方だ。そのため、PlayStationで据え置き型ゲーム機市場を制覇したように、モバイル分野でも成功を収めることが第一の目標となる」(House)
一方、Nintendo of Americaのマーケティング担当バイスプレジデントPerrin Kaplanは、DSが劇的な変化をもたらすとは考えていない。DSがGame Boyの名前を受け継ぐ可能性もあるが、実際にそうなるかどうかは、任天堂がこのブランドによって少し上の年齢層のこだわりのあるユーザーにアピールできると考えるかどうかにかかっている。
「DSはわが社にとって市場拡大の大きなチャンスになるだろう」と同氏は述べ、DSを購入するのは典型的なGame Boy Advance購買層よりも若干上の年齢層になると予想している。
PSPとDS、どこがどう違うのか
任天堂とソニーの新しいゲーム機の主な違いとしては、ゲーム以外の機能が挙げられる。ソニーはPSPを、映画や音楽などのエンターテインメントを提供する手段として位置づけている。これらは、ソニーが新たに開発するUMDフォーマットのディスクや、先頃オープンしたConnect音楽ダウンロードサイトのようなサービスを通して提供されることになっている。
「PSPがゲーム機なのは間違いないが、ただし他のエンターテインメントを楽しめる機能も備えている。こうした特徴によって、実際にマスマーケットに受け入れられる大きな可能性があると思う」(House)
任天堂はDSに関し、ゲーム以外の機能については発表していない。Kaplanによれば、ゲーム以外の機能が付くとしても、Game Boy Advanceでマンガを表示する新しいビデオカートリッジのような、補助的なものになるという。Kaplanは、多目的に使える機器で機能性を犠牲にするよりも、それぞれある機能に特化した機器をたくさん持ち歩くことのほうが、ユーザーには好まれると主張している。
「少ない機能をずば抜けてうまくやってのける機器よりも、多くのことを程々にこなす機器が受け入れられた事例はない。ハードウェア好きのユーザーなら、どんな種類の機器でもすでに1つか2つ持っている。ゲームで遊ぶのに最適なら、専用のゲーム機を持ち歩くことに何のためらいも感じないはずだ」(Kaplan)
ゲームソフトメーカーの反応は
外部のゲームメーカーとの関係も、ソニーと任天堂では異なるものになりそうだ。任天堂はいまだに光メディアではなく、同社独自の比較的高価なカートリッジフォーマットにこだわっていることも、そうした違いを生む一因になる。
大手の独立系ゲームメーカーElectronic Artsは、Game Boy Advance向けのタイトルをほとんど販売していない。「主な理由は採算性だ」というのは、EAエグゼクティブバイスプレジデントのBruce McMillan。同氏は「販売数を正確に予測しない限り、カートリッジで利益を出すのは本当に難しい。光メディアだと、必要に応じていくらでも増産できるが、カートリッジだとそうはいかない。見込みを間違えると、過剰な在庫を抱えてしまう」jと説明している。
しかしEAは、DSに対してこれまで以上の興味を示すかもしれないとMcMillanは述べた。その理由として、DSの潜在ユーザー層が、どちらかと言うと比較的年齢の高いEAのゲームのユーザー層と一致することと、ならびに任天堂の新しい1Gバイトのメディアフォーマットがゲームメーカーにとって都合がよいことを挙げた。
「任天堂が言うメディアはDVDほど一般的なものではないが、正しい方向への第一歩と言える。私は、任天堂にメッセージが伝わったと思っている...コンテンツはわれわれの責任だが、それを入れるメディアは費用対効果の高いものでなければならない」(McMillan)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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