Apple ComputerとMotorolaが米国時間26日、提携を発表した。提携のもとで両社は、iTunes Music Storeからダウンロードした楽曲ファイルをMotorolaの次世代携帯電話機に転送し、再生できるようにするという。
この提携で、Appleは携帯電話向けにiTunesソフトウェアの新バージョンを開発する。このソフトウェアは、来年前半に市場投入が予定されているMotorolaの新製品ラインに、デフォルトのジュークボックスソフトとして搭載されることになる。両社はこの契約に関する金銭的な条件を明らかにしていない。
「携帯電話市場は・・・世界中にいるさらに多くの音楽愛好家の手にiTunesを届ける絶好の機会だ。この立ち上げに関わる相手としてMotorolaは理想的なパートナーだと思う」と、Apple最高経営責任者(CEO)のSteve Jobsは声明を出している。
Appleが携帯電話の関係で他社と提携するのは、今回が初めて。この提携は、通常の会話だけでなく音楽の再生も可能な新世代の携帯電話機との競争に、iPodが十分耐えていけるというAppleの自信の表れでもある。
アナリストらは以前、こうした新しい携帯電話機が、昨年市場を席巻したカメラ付き携帯と同様に消費者の人気を集めそうだと述べていた。しかし、iPodや競合機種では数百時間分の音楽を保存できるのに対し、これらの携帯電話機ではストレージ容量が少なくわずか数時間分しか保存できないことから、多くの人は、これらの携帯電話機が、ハードディスク搭載型の音楽プレイヤーと直接競合するとは考えていない。
Appleは、iSyncというソフトウェアをリリースするなど、これまでも何度か携帯電話ユーザーにアプローチしている。同ソフトウェアは、連絡先などのデータを携帯電話機とMacintosh端末の間で同期させるものだ。また同社では、マルチメディアソフトウェアのQuickTimeを携帯ネットワークを通じたビデオのストリーミング配信フォーマットとして売り込んでいる。
しかし、今回のMotorolaとの提携は、Appleの柔軟性が--依然として非常に限られたものであるにせよ--一段と高まっていることも指し示している。自社のハードウェア売上に直接貢献しなくても、ブランドの浸透範囲拡大につながるものであれば他社との提携もいとわない姿勢が鮮明になったといえよう。
同社は今年はじめにHewlett-Packard(HP)と契約し、HPが自社ブランドのiPodを販売することを認めている。しかし同社は、人気のiTunes Music Storeで購入した楽曲を保護するコピー防止ソフト「FairPlay」に関しては、競合するデジタル音楽企業各社へのライセンス供与をかたくなに拒み続けてきている。ユーザーがiTunesで購入した楽曲を他メーカーのMP3プレイヤーで再生しようとした場合に、ファイルフォーマットを変更しなくても済むようにするには、メーカー側がAppleからライセンス提供を受ける必要がある。
Jobsは以前、オンラインでの楽曲販売はほとんど儲けにならないと語ったことがある。またアナリストらも、音楽ダウンロードサービスについて、iPodの販売を促進する手段と見なしている。そして、これまでのところ、この戦略が功を奏している。同社は直近の四半期に86万台以上のiPodを販売したが、これはiTunesサービスが開始される前の2003年第1四半期の売上台数30万4000台と比べて3倍近い数字になっている。
今回の発表の前日には、RealNetworksが自社のオンライン音楽サービスからダウンロードした曲をiPodで再生できるようにする方法を見つけたことを明らかにしている。ただし、同社はこのための許可をAppleから得てはいないという。
Appleの幹部は、RealNetworksの新しいソフトウェアについて、実物をまだ目にしていないことを理由にコメントを控えた。「Harmony」という名のこのソフトウェアは27日にリリースされる予定だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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