Intelは現地時間3月26日、中国国内に半導体製造工場を建設すると発表した。同社史上、画期的な出来事だ。
先にも報じたとおり、建設予定地は中国北東部の工業地帯の中心都市である遼寧省大連で、建設費用として25億ドルを見込んでいる。Intelの広報を担当するChuck Mulloy氏によると、中国政府はIntelに対して金銭的な支援を行うとともに、市内および近郊のインフラを整備しなおしたという。
大連工場で出荷が始まるのは2010年上半期からの予定だ。同工場では当初、コンピュータ内でプロセッサ間のデータ受け渡しを行うチップセットと、場合によっては通信用チップを製造する。
フラッシュメモリやプロセッサではなくチップセットのみを製造することにしたのは、米国企業が最先端の半導体製造設備を中国に持ち出すことを禁じる規制があるためだ。一般的に、米国企業が持ち出せるのはいわゆる「N-2」設備、つまり最先端の標準から2世代前の設備だけだ。この規制は、(特に)中国がチップ製造機械を先端兵器製造に転用するのを防ぐために存在している。
「現地で使用できるのが古い製造技術だけなので、チップセットの製造が最適だ」と、Mercury Researchの主任アナリストDean McCarron氏は語った。
Mulloy氏によればチップセットの定義は広く、従来のチップセットのほかにWiMAXチップやWi-Fiチップ、あるいは携帯電話用のチップまで含むことがあるという。Intelの通信用チップは、その大部分を台湾積体電路製造(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd.:TSMC)が製造している。
Intelは20年以上前から中国に進出し、研究所やテスト施設、パッケージング工場などを運営しているが、実際に半導体を製造するのは大連工場が中国で初めての例となる。4月中旬に北京で開催する「Intel Developer Forum」(IDF)では、この工場が大きな話題となりそうだ。
これまでのところ、Intelは半導体製造施設を米国、イスラエル、アイルランドに集中させ、一方でマレーシア、コスタリカ、中国などの新興国にはテスト施設を設置している。テスト施設では人件費が大きな要素となるが、工場では事情が異なる。工場の建設および運営に伴う費用の大半は、シリコンに金属を蒸着させウエハ上に回路を「描く」設備に費やされる。
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