日本ヒューレット・パッカード(HP)は25日、同社のエンタープライズサーバ製品のポートフォリオ戦略を強化すると発表した。その一環として同社は、AMDのOpteronを搭載したProLiantサーバを今春にリリースし、さらにIntelが今夏にもリリースする予定の64ビット拡張機能付きXeonを搭載したProLiantサーバも製品化する予定だという。
現在同社のProLiantサーバに搭載されているのは、Intelの32ビット対応Xeonプロセッサ。Opteron搭載サーバをラインアップに加えることで、「64ビットテクノロジーにより処理性能の向上が見込めると同時に、現行のx86プラットフォームや32ビットアプリケーションに対する投資保護も保証できる」(日本HP エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 インダストリスタンダードサーバ製品本部本部長 上原宏氏)としている。
日本HPエンタープライズストレージ・サーバ統括本部インダストリスタンダードサーバ製品本部本部長 上原宏氏 | |
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今回の内容はHPが世界同時に発表したもの。通常は製品リリースの準備が整った段階での発表となることが多いが、今回まだ製品が準備できていない段階でのOpteron採用の発表について、上原氏は「いち早く市場参入表明をしたかった」と語る。なぜ今Opteronなのか、との問いにも同氏は、「Opteronの採用についてはAMDが同チップをリリースをした時点から検討していた。今回本格的な製品投入に向けての準備が整ったために発表した」としている。
一方HPでは、Xeonの64ビット対応版についてもProLiantのラインアップに加えていく予定だ。Opteronを採用した2ウェイおよび4ウェイサーバを今年上半期中に市場に投入する予定で、Opteron搭載の2ウェイブレードサーバも時期未定ながら製品化する計画があるという。64ビット版Xeon搭載のサーバについては、Intelからの出荷時期が正式発表されていないため現段階での予定という範囲にとどまっているが、1〜2ウェイサーバが今夏発表予定、4〜8ウェイサーバが2005年発表予定となっている。
IntelとAMDという競合企業のチップを同じ製品ラインで採用するとなると、両製品の位置付けが気になるところだ。これについて上原氏は、「Opteronにはコストメリットがある。また、64ビット版Xeonのマルチプロセッサ対応は、製品化が来年となるため待てない顧客もいる。テクノロジー面では、用途によってOpteron、Xeonがそれぞれフィットする部分をテストしたり、顧客の声を聞いたりした上で販売していきたい」としている。価格はまだ決まっていないが、「Opteronはプライスパフォーマンスが売りでもあるため、かなり積極的な価格を提示できるはずだ」(上原氏)としている。
ただ、現時点では価格差以外に両製品の位置付けがはっきりしていないというのも本音のようだ。上原氏は、「HPは顧客に対して選択肢を広げるのが役目。Opteronが安価でいいという顧客もいれば、これまでIntel製品を使っていた顧客がそのままIntel製品を選択するということもあるだろう。Xeonの64ビット版の登場が待てないという顧客もいる。これは顧客が選択することだ」と説明する。HPはチップの開発をIntelと共同で進めるなど、Intelとの結びつきが強いという印象だが、「HPとしては、これまでもIntel製チップのみで行くつもりはなかったし、今後はAMDのみ、と考えているわけではない。顧客に幅広い選択肢を与えたいだけだ」と上原氏。
なお、現在同社サーバでPentiumが搭載されているローエンドサーバにAMD製チップを採用する予定があるかどうかについても「顧客のニーズに応じて検討していきたい」(同社エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 インダストリスタンダードサーバ製品本部 プロダクトマーケティング部部長 香取明宏氏)としている。
HPでは現在、MIPS搭載のNonStopサーバ、Itanium搭載のIntegrity、PA-RISC搭載のHP 9000/e3000、Alpha搭載のAlphaServer、そしてx86チップ搭載ProLiantというサーバ群を抱えているが、今後はNonStop、Integrity、ProLiantという製品群に集約していく予定だという。さらにNonStopサーバにもItaniumを搭載し、「すべての製品ラインにItanium、x86という業界標準アーキテクチャを採用する。アダプティブエンタープライズは、標準化からはじまるのだ」(香取氏)と述べた。
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