Hewlett-Packard(HP)は9日(米国時間)に、新PA-8800プロセッサならびに同チップを採用したUnixサーバ製品を発表すると見られている。また、IntelのItanium 2をベースに構築した、技術的な用途向けの新システムも同時に発表するという。複数の情報筋が明らかにしたもの。
同社は、高性能サーバ製品向けのプロセッサを、PA-RISCチップからItaniumへと徐々に切り替えてきており、最終的によりシンプルな製品ラインにする予定だ。しかし今後数年間は、ハイエンドシステムには複数のチップを使った製品を揃えていく。また、ローエンドシステムでも、IntelやAdvanced Micro Devices(AMD)の64ビットチップ搭載製品が加わることで、品揃えはますます複雑なものとなる。
情報筋の話によれば、HPは9日にPA-8800ベースのサーバを多数発表する予定で、その中には同社の最高機種Superdomeの新バージョンも含まれるという。HPは昨年の段階で、PA-8800ベースの最高機種である128プロセッサSuperdomeを、2004年始めまでに発売するとの見通しを述べていた。
PA-8800は1枚のシリコン片上にPA-8700チップを2基搭載しており、1つのソケットあたりの処理性能が向上している。
またHPは、1GHzのItanium 2「Deerfield」プロセッサを2基搭載した、rx1600というシステムを発表する予定だ。Deerfieldは省電力モデルで、Itaniumよりも消費電力と発熱量が少ない。厚さはわずか4.5cmのrx1600は、ラックマウント用のシステムで、クラスタを構成して複雑な計算処理課題を解く、といった技術用途向けに作られている。
さらにHPは、厚さ9cmの既存のデュアルプロセッササーバ、rx2600シリーズに、低価格の新Itaniumプロセッサを導入する。HPのウェブサイトによると、rx2600は1GHzおよび1.4GHzのItanium 2プロセッサを採用したモデルがすでに発売になっており、価格は1GHz版が5730ドルから、1.4GHz版が6230ドルからとなっている。
Opteronの姿はなし
9日には、AMDの64ビットOpteronプロセッサを搭載したモデルは、発表されない見込みだ。OpteronのAMD64アーキテクチャは、IntelのXeonなどのような32ビット「x86」チップと、64ビットのItaniumの間にある大きな隔たりを埋めるもの。HPはOpteron搭載サーバを2月中に発表すると見られている。
IntelもAMDに続き、独自の64ビット機能拡張を発表する。情報筋の話によると、Intelは今月開催するIntel Developer Forumで、この技術のデモを行うとともに、正式名称を発表するという。これまでYamhillという開発コード名で呼ばれてきたこの技術は、現在「CT」(Clackamas Technologyの略称)という名に変わっている。
HPは、x86にOpteronとCTが加わることを、それほど大きな変更だとは考えていない。HPのEnterprise Storage and Serversグループバイスプレジデント、Mark Hudsonは、64ビット拡張を「x86アーキテクチャの自然な進化の結果であり、x86への他の機能強化となんら変わるものではない」としている。
Hudsonは、64ビット拡張つきのx86サーバを出荷する計画について、顧客が望むときに出荷するとし、コンピュータメーカー、ソフトウェアメーカー、顧客の3者にとって最も好ましいのは、Intelの64ビット拡張がAMD64と互換性を持つことだろうと述べたほかは、コメントを差し控えた。
一方、IntelやHPでは、劇的な変化が起きていると見る向きもある。
「Intelがx86/64ビット計画に力を注ぐあまり、Itanium計画が遅れるようなことがあれば、エンタープライズ部門の収益性向上を目指すHPの計画にマイナスの影響が及ぶ可能性がある」とBear Stearnsのアナリスト、Andrew Neffは5日に発表したレポートのなかで記している。
Illuminataのアナリスト、Jonathan Euniceは、HPが64ビットのx86チップ採用を検討していると述べたことは「驚愕に値する」と、5日のリサーチノートに記している。「HPは長年にわたってx86サーバのリーダー格であり、Itaniumの共同開発に携わり、何年もの間Intelの製品を標準採用してきた。同社はIntelの最も重要な顧客であり、そのHPまでがOpteron採用を検討しているとすれば、AMD64はIntelにとって明らかな戦略的脅威となる」(Eunice)
Itaniumが依然主力
HPがProLiantシリーズに新x86チップを導入する可能性はある。しかし同社は、Intelが約束しているItaniumの大改良に期待を寄せている。次世代Itaniumモデルの1つ、Tukwila(開発コード名)には、1つのシリコン片に16基ものプロセッサコアが搭載される。またIntelは、Itaniumの値下げも行なう予定だ。
ItaniumプロセッサはHPとCompaq Computerの合併時の推進力となった。CompaqもHPと同様、独自のハイエンドチップAlphaを徐々に廃止してItaniumに移行する計画だったからだ。CompaqからHPに引き継がれたNonStopサーバは、現在MIPSプロセッサを採用しているが、2005年始めにItaniumへの移行を開始する、とHudsonは述べている。このスケジュールは、HPが2002年に設定した、2004年という期限から若干遅れている。
「我が社の戦略を見ると、アーキテクチャが5つから2つへと簡素化されることがわかるだろう。我が社の戦略は変わっていない。我々は2つの業界標準アーキテクチャ(Itaniumとx86のこと)を長期的にサポートしていく」(Hudson)
HPは、Itaniumを採用したことで、ソフトウェアのフレキシビリティを高めた。PAベースのサーバではHP-UXしか稼動できないのに対し、ItaniumベースのIntegrityサーバでは、HP-UXのほかLinuxやMicrosoftのWindowsも稼動できる。また、HPは今年中に、OpenVMSとNonStop Kernelという、よりマイナーな2つのオペレーティングシステム(OS)のItaniumバージョンをリリースする計画だ。
現時点で、Itanium向けのHP-UXで動作するアプリケーションソフトの数は1500に上ると、Hudsonは語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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