アドビシステムズ(アドビ)は3月2日、PDFによるドキュメントソリューションを実現するためのサーバ製品群である「Adobe LiveCycle」の新製品として、「Adobe LiveCycle PDF Generator」を発表した。また、マクロメディアとの統合によりアドビ製品となった「Flex」「Breeze」といったサーバ製品とPDFとの連携によるビジネスソリューションも紹介した。
アドビシステムズ、マーケティング本部長の伊藤かつら氏 |
以前から説明されているとおり、巨大なインストールベースを持つ「Adobe Reader」に「Flash Player」というプレゼンテーションのインフラを、ビジネスアプリケーションの提供においても最大限に活用していくというのがアドビのビジネス市場に向けた戦略だ。アドビシステムズ、マーケティング本部本部長の伊藤かつら氏は、発表会の冒頭、同社のミッションとして「エンゲージメントプラットフォームの提供」を改めて強調。クリエイターに向けて、「人とアイデアの関わり」を促すのが同社のクリエイティブツール群であり、ビジネスアプリケーションのデベロッパーを通じて、「人(ユーザー)と情報の関わり」を提供するのが、LiveCycleをはじめとする、Flex、Breezeといったサーバ製品群であると説明した。
「システムの開発者や運用管理者が便利さを享受するための技術がここ数年で大きく発展してきたが、それに加えて、エンドユーザーにも利便性や驚きを与えられるのがアドビの提供するエンゲージメントプラットフォームである」(伊藤氏)
4月上旬に提供が開始される「Adobe LiveCycle PDF Generator for Postscript日本語版」は、PostScriptデータをPDFへと変換するためのサーバソフトウェア。前バージョンは「Adobe Distiller Server」として提供されていたが、最新版は、WebSphere、WebLogic、JBossといったJ2EEの実行環境に対応し、正式にLiveCycleシリーズに加わえられた。これにより、PDFドキュメントの生成、フォーム作成、操作権限の付与、ワークフロー、セキュリティ設定、文書へのアクセス管理といった一連のソリューションを、LiveCycleシリーズで一貫して提供できる環境が整ったという。
LiveCycleに「PDF Generator」が加わることにより、PDFの作成から保護、管理までの一貫したソリューションを提供可能になるという
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また、アドビ製品によるビジネスソリューションの一例として、LiveCycleとFlexの連携によるデモも行われた。Flexベースのリッチインターネットアプリケーション(RIA)として提供されているローンシミュレーションサイトを題材としたもので、Flash上のフォームに途中まで入力されたデータを、PDFフォームとしてダウンロードし、オフラインでPDFフォームに残りのデータを入力。再度、オンラインでFlashフォームへ内容を反映させるというものだ。
これまでアドビは、サーバベースでセキュリティの確保や各種のコントロールが可能なPDFフォームを「リッチクライアント」として、マクロメディアはダイナミックにデータを反映できるFlashベースのユーザーインターフェースをRIAとして、それぞれに推進してきた。今回披露されたデモは、PDFとFlashという両プラットフォームの「連携」に主眼を置いたものだが、それぞれの持つ特徴を生かし、ユーザーにとって、より利便性の高いアプリケーションを提供可能な環境が整いつつある点をアピールしたと言えそうだ。
なお、Eclipseベースの統合開発環境「Flex Builder 2」を含む、RIA開発プラットフォームである「Adobe Flex 2.0」は、2006年夏の発売が予定されている。
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