米アドビシステムズ(カリフォルニア州)は9月29日、ブルース・チゼンCEOが来日したことを受け、今年度第3四半期の業績結果と事業戦略について説明した。業績が堅調に伸びていることを強調したとともに、米マクロメディア買収後の融合戦略や、パソコン以外への情報機器への利用提案など今後の展望について語った。
マクロメディアとの合併が今秋に完了する予定だが、合併後の製品戦略について、「お互いが持っている製品のなかで、いくつか機能が重複する製品があるのは確かだが、コンセプトやターゲットが違う。100%とは言い切れないが、両社の既存製品のなかで無くなるような製品はほとんどないだろう」と話した。そのうえで、「PDF作成で信頼の厚いアドビとアニメーションやビデオコンテンツ作成の標準プラットフォーム『フラッシュ』を持つマクロメディアの技術を合わせ、統合的なプラットフォームを作りたい」と述べた。また、新規事業については、パソコン以外の情報機器での利用提案を挙げ、「携帯電話やテレビ、カーナビなど色々な情報機器でPDFやフラッシュが使えるようにしたい」とした。
日本市場での事業戦略については、(1)「アクロバット」を利用した企業の業務効率化、(2)統合デザインプラットフォームである「クリエイティブスイート」の拡販、(3)モバイル機器におけるアドビ製品の利用提案を挙げた。
日本法人では、前社長の石井幹氏が退職し暫定的にスーシーン氏が社長に就いているが、チゼンCEOはこれに対し「スーシーン氏は暫定的に社長に就いてもらっているだけ。今、後任を積極的に探している最中だ。ただ、アドビ日本法人はこれまで成功しているので、少しの間正式な社長が不在でも問題はない」と説明した。
アドビの今年度第3四半期(05年6月4日ー9月2日)業績は、売上高が前年同期比21%増の4億8700万ドル、営業利益は同31%増の1億8360万ドル、純利益は同39%増の1億4490万ドルと堅調な伸びを示した。ワールドワイドの地域別売上高は、米国が42%で日本を含むアジア地域が22%。アジア地域での売上高は、「日本以外は不正コピーが横行しており、ほとんどが日本市場の売り上げ」(チゼンCEO)という。
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