「SMB(中小企業)市場での成功なくしてオラクルの成長はあり得ない」。こう言い切るのは、日本オラクル クロスインダストリー統括本部 執行役員の三澤智光氏だ。日本オラクルは17日、プレスセミナーを開催し、SMB市場に向けた同社の意気込みを語った。
三澤氏によると、オラクル製品の日本における導入率は、売上が3000億円以上の大企業で95%となっているものの、売上3000億円未満300億円以上の中規模企業で60%、300億円未満の小規模企業にいたっては15%だという。オラクルの目標は、現時点でアプローチしきれていないSMB市場を開拓し、同市場での売上を20%増加させることだ。
日本オラクル クロスインダストリー統括本部 執行役員 三澤智光氏 |
三澤氏は、オラクルが顧客から「ライセンス価格が高い」「使いにくい」「ベンダーの顔が見えない」など、悪評高いレッテルを貼られていることを反省点としている。このイメージを払拭し、SMB市場にアプローチするための戦略として三澤氏は、顧客カバレッジを向上させること、クロスセル、アップセルなど積極的な製品提案を行うこと、ISVとの協業を強化すること、安い・速い・簡単というイメージを定着させるための製品を投入することを挙げている。
顧客カバレッジの向上について三澤氏は、同氏の所属するクロスインダストリー統轄本部に日本オラクル全社員の約1割にあたる160人を配置し、おもに中規模とされる顧客4000社に直接コンタクトするとしている。製品提案については、サポートの顧客に追加製品を提案することや、E-Business Suiteの顧客にRAC(Real Application Clusters)を提案するなど、積極的な提案を行うとしている。ISVとの協業を強化するために同社は、共同でプロモーションやセミナーを行ったり、オラクルが自社開発したソリューションテンプレートを無償で提供するなど、ISV向けのサービスメニューを拡充している。
三澤氏の述べた反省点のなかでも特に大きな課題となっていたライセンス価格の高さと導入の難しさについては、まずSMB市場向けの製品を投入することで安価にオラクル製品が手に入るようになったことをアピールする。同社では、これまでのデータベース製品で最安値となるStandard Edition(10gの場合、最小5ユーザーで19万6875円)よりワンランク安価なStandard Edition Oneを設け、9万7650円で提供しているほか、これまではEnterprise Editionのみで提供されていたRACをStandard Editionでも提供している。これにより、Enterprise EditionでのRAC導入時には、2ノード2CPUで3000万円を要していたが、Standard Editionでは750万円でRAC導入が実現できることになる。
さらに、導入や管理についても使いやすさに重点を置いて改善したとしている。10gファミリーの出荷が遅れた原因も、「インストーラに改善を加え、できるだけ簡単にインストール作業が行えるようにしたためだ」と、日本オラクル マーケティング本部 システム製品マーケティンググループ ディレクターの杉崎正之氏は説明しており、「技術者でなくてもインストールが簡単にできる」としている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス