ノベルは生まれ変わるか? SUSE Linux日本語版3製品を発表 - (page 2)

 ノベルでは現在、主要製品のLinuxへの対応を急速に進めており、2004年夏にはマイグレーションを支援するコンサルティングサービスの提供を予定しているという。またその過程の中で、YaST、iFolder、Ximian Connectorといった製品のオープンソース化も行っており、オープンソースコミュニティへの成果の還元を実現した形だ。

 今回発表された新製品3種類の概要は以下の通り。

  • Novell SUSE LINUX Enterprise 8(SLES 8)
    中〜大規模環境向けのサーバOS製品で、大規模データベースやERPなど基幹業務での利用を想定している。32ビット/64ビットの両環境をサポートし、64ビット環境で最大64個、32ビット環境で最大32個までのマルチプロセッサに対応する。サポートするプラットフォームも、Intelのx86系サーバだけでなく、AMD64の64ビットセットをはじめIBMのiSeries/pSeries/zSeriesなどの非Intel系プロセッサ環境も含まれる。クラスタリングにも対応し、スケーラビリティや可用性の面でも強化が図られている。同製品は、2004年3月よりIBMのzSeries版がすでに提供されている。
  • Novell SUSE LINUX Standard Server 8(SLSS 8)
    32ビットでのデュアルプロセッサ構成をサポートする中小規模向けサーバOS。一般にLinuxがよく用いられるようなウェブサーバや電子メールサーバとしての用途のほか、ワークグループ向けにファイル/プリンタ共有サービスなどを提供する役割も想定されている。
  • Novell SUSE LINUX Desktop 1
    コンシューマー向けのLinuxディストリビューションではなく、企業のクライアントでの利用を想定している。管理ツールと連携しており、OpenOffice.orgのほかCodeWeaversのCrossOver Officeを使ってのMicrosoft Officeの利用が可能になる。

 これら3製品はLinuxカーネル2.4がベースのものだが、より最新機能を使いたいパワーユーザーのためにSUSE LINUX Professional/Personal 9.1 International版が用意される。こちらはカーネル2.6をベースとしたものであり、64ビットサポートのほかACPI対応などの機能が追加されている。International版の出荷日は他3製品と同じ6月1日だが、日本語版は7月1日の登場予定となっている。従来よりぷらっとホームがSUSE Linuxの国内販売代理店として機能していたが、今回の発表以後も引き続いて製品の取り扱いを行う予定だという。今後のロードマップとしては、カーネル2.6を搭載した商用サーバとしては初のSLES 9が8月に登場予定であり、より機能をアップしたProfessional/Personal 9.2の日本語版が2004年末をめどに発表される。

 またこれらOS製品を支援するアプリケーション群として、サーバ機能群をスイートとしてまとめたNterprise Linux Services 1.0、システム統合ツールのexteNd 5.2、管理ツールのZenWorks 6.5(Ximian Red Carpetを同梱)ら製品のLinux対応を進めている。さらに2004年中旬をめどに、OracleとSAPがSLESへの製品対応を表明している。もともとミドルウェア関連製品が充実していたノベルであり、コンサルティング会社のケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズを買収している経緯もあるため、アプリケーションベンダーやハードウェアメーカーの支持を取り付ければ、強力な総合ベンダーとして生まれ変わる可能性を秘めている。

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