富士通は4月8日、同社のIT基盤TRIOLEの一環として、ネットワークサーバIPCOM Sシリーズを販売開始すると発表した。ルータやスイッチ、帯域制御、負荷分散、ファイアウォールなどの機能をすべて1台に統合したこの製品は、同社の現行機器を個別に導入する場合と比べた場合、価格は約半分に、スペースとケーブル本数は約3分の1に、設計から導入までの時間は約5分の1になるという。
富士通IPネットワーク事業本部長代理の菊池伸行氏は、「ネットワークのグローバル化、高速化、IP化で利便性は増したが、ネットワークの設計はより複雑になり、通信品質も専用線と比べると低いなど、新たな課題が発生している」と述べる。こういった課題を解決するのが今回発表した新製品というわけだ。
従来製品での組み合わせ(右)とSシリーズ。見た目のシンプルさは明らか |
IPCOM Sシリーズは、ITシステムで必要となるネットワークの機能を1台に統合し、ネットワーク環境の簡素化を実現したもの。「富士通がこれまでキャリアに提供してきた高性能な通信技術と、多くの基幹系システムを構築してきた高信頼なサーバ技術を合体させたものだ」と菊池氏は自信をみせる。構成がシンプルであるため、ネットワーク構成定義や運用ポリシーを一括設定することが可能で、運用・保守コストも削減される。
安定した通信環境を提供するために、同製品ではVPN上での業務単位の通信帯域を保証するという。また、経路縮退時も業務が必要とする通信帯域を自動確保する、帯域保証型マルチホーミング機能を備えているという。これらの機能は「業界初だ」と菊地氏はいう。
富士通 経営執行役常務 伊東千秋氏 |
IPCOM SシリーズのSは、「Simple & SpeedyのSだ」と富士通 経営執行役常務システムプロダクトビジネスグループ長 伊東千秋氏は説明する。「ネットワーク部分は建築物でいえば水回りに相当する複雑さと困難さがあった。IPCOM Sシリーズはユニットバスのようなもので、これさえあれば水回り部分、つまりネットワークをオールインワンで簡単に構築することができるものだ」と述べた。
価格は、拠点向けのIPCOM S1000が80万円、S1200が198万円、センター向けのIPCOM S2000が470万円より、S2200が790万円よりとなっている。富士通では、従来のIPCOMシリーズとあわせて今後2年間で6000台の販売を目指すとしており、その内訳としてSシリーズが4000台としているが、「ルータ市場もカバーできる製品なので、4000というのは控えめな数字だ」(菊池氏)とし、同製品がTRIOLEの中でも主要製品となることを強調した。
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