日本SGI、NTTコムウェア、日本オラクルの3社は2月9日、企業のLinuxシステム導入を共同で推進するにあたって協業すると発表した。日本SGIが先月発表したIA-64 Linuxサーバ、SGI Altix 350にオラクルのデータベースを搭載し、インテグレーションと販売をNTTコムウェアが手がける。
今回協業した3社は、これまでにもLinux事業に力を入れ、それぞれの戦略を展開してきた企業である。SGIは、すでにLinuxが主流となっている自動車業界におけるエンジニアリング分野や科学技術分野で実績を多く積んでおり、1999年に「Linux分野における新事業戦略」を表明して以来、特にエンタープライズLinuxでの先進的な取り組みを進めてきた。NTTコムウェアも1999年にLinuxセンターを開設、2000年にはLinuxに関するコンサルティングからシステム構築、運用、保守などを行うトータルサービスを開始している。オラクルは2000年にミラクル・リナックスを子会社として設立、日本市場におけるエンタープライズ領域でのLinuxビジネスの普及に力を入れている。
左から、日本SGI代表取締役CEO和泉法夫氏、NTTコムウェア代表取締役社長 松尾勇二氏、日本オラクル代表取締役社長 新宅正明氏 | |
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日本SGI代表取締役CEOの和泉法夫氏は、「Linuxはすでに、Unix、Windowsに次ぐサーバOSとしての地位を確立した。2003年の国内におけるLinux市場は約37%拡大しており、2004年はUnixとLinuxのシェアが逆転する年だ。今後5年間で年平均2桁成長が見込まれるLinux分野に3社共同で取り組んでいきたい」と述べた。
これまで主に科学技術分野で強みを発揮していたSGIは、ビジネス分野への進出を試みつつも目立った成果を出すには至っていない。今回の協業により、ビジネス分野でいまだ本格化していないIA-64分野にいち早く取り組み、同分野で成果をあげることがねらいのようだ。NTTコムウェアにとっては、SGI、オラクルと組むことで、これまでのNTTグループ中心の顧客からさらに市場を広げることができる。オラクルは、現在全体の売上の比率からするとまだ1桁台であるというLinux関連の売上を、「数年で20%近くまで伸ばしていきたい」(日本オラクル代表取締役社長、新宅正明氏)としており、今回の協業がこの数字の達成に貢献することを望んでいるようだ。
新宅氏は、「アーキテクチャで単一独占というのはありえない。これまではIAサーバにWindowsというWintel構図ができあがっていたが、今後はLintelという選択群も推進していきたい」と述べた。いっぽうのNTTコムウェア代表取締役社長の松尾勇二氏は、「NTTグループ内ではすでにシステムの中心としてLinuxを採用しようという動きが進んでいる。今後Altix 350というIA-64サーバで、ブロードバンド、データマイニング、顧客管理、流通管理といった市場を中心に開拓していきたい」とした。
SGIの和泉氏は「今回の協業で3社がめざす市場規模は、インテグレーションやハードウェアなどの売上を含めると1年間で約100億円。だがこのマーケットを最初に切り開いていくという意味では、今後さらなる規模拡大が望めるだろう」と語った。
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