マイクロソフトと日本ユニシスは12月2日、Windows Serverを採用した金融機関向けシステムの共同開発を行うと発表した。このプロジェクトの第1弾として、百五銀行の次期基幹系システムをサポート、2007年度に稼動開始する予定。
これまでにもマイクロソフトでは、海外で金融機関に向けたパッケージ製品を用意しており、勘定系における一部のシステムでWindowsが採用されるケースはあった。日本でも新生銀行が海外のパッケージを勘定系システムに採用しているほか、マイクロソフトと日本ユニシスの提携の下、三井住友銀行の勘定系システムと都銀キャッシュサービスのゲートウェイシステムを、日本ユニシスの提供するIAサーバとWindows Serverの組み合わせで構築したという実績もある。ただ、「金融機関におけるシステムのすべてをWindowsベースで構築するケースは世界でもはじめて」(マイクロソフト取締役、平井康文氏)だという。
左から日本ユニシス代表取締役社長の島田精一氏、百五銀行代表取締役頭取の前田肇氏、マイクロソフト代表執行役社長のマイケル・ローディング氏 | |
今回の共同プロジェクトで両社は、各オフィスに専任組織を設置、日本ユニシスは同社のオープンミドルウェア「MIDMOST」などの機能拡充を実施する一方、マイクロソフトは米国本社の専任技術者との連携をはじめ、次期プラットフォームへの要求事項を反映すべく検討を進める。両社は共同でWindowsプラットフォーム上でのシステム適用検証を実施、マイクロソフトの次世代プラットフォームテクノロジ「Yukon」(SQL Server次期バージョンの開発コード名)や「Whidbey」(Visual Studio次期バージョンの開発コード名)などの情報を共有し、日本ユニシスのソリューションへの最適化を実施する。
マイクロソフト代表執行役社長のマイケル・ローディング氏は、「ミッションクリティカルなシステムにもオープンなWindowsシステムを導入することで、コスト削減や価格性能比の向上につながるとともに、柔軟性も実現できる」としている。さらには、「海外の銀行などでもWindowsベースのシステムを導入する動きは進んでおり、これは今後のトレンドとなるだろう」と、今回のプロジェクトに対する期待を述べた。
ただWindows製品は、これまでにもBlasterやCode Redなどをはじめ数々のウイルス攻撃を受けており、セキュリティ面で一般ユーザーの間に不安が広がっているのも確か。この点についてローディング氏は、「これまでのウイルス攻撃はWindowsの脆弱性をついたものだったが、そのためのセキュリティパッチはすべて事前に発行されており、パッチ対策が万全であった企業には全く被害がなかった。ただ今後も保護水準を高めるため、顧客にしっかりソフトウェアをアップデートしてもらうような仕組みを作る努力をしている」と述べている。
また日本ユニシス代表取締役社長の島田精一氏も、セキュリティは最重要事項だとしたうえで、「セキュリティ問題はWindows固有のものではない」という。「われわれが手がけるのは、一般ユーザーのものではなく基幹系システムだ。クローズドな環境におかれた基幹系システムが直接攻撃にあう可能性は低い。確かにクローズドな環境にあってもネットワークで外部とのつながりはあるが、その際に問題とされることはメインフレームでも同じことで、そのための対策は立ててある」としている。百五銀行代表取締役頭取の前田肇氏も、この点についてはこれまで日本ユニシスと築いてきた信頼関係もあり、「すべて納得した上で導入を決めた」と述べている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス