シリコンバレーの数あるファブレスチップ企業と製品設計企業の中でも、Intelは異彩を放つ存在だ。Intelは世界的に見ても特に高度なテクノロジ製品をシリコンバレーで開発するだけでなく、製造も行っている米国のハイテク企業である。AppleやHewlett-Packard(HP)など、製品の製造と組み立て作業のほぼすべてを米国外に委ねている企業とは対照的だ。
筆者は先々週、Intelの共同創設者であるAndy Grove氏に、同社が米国内で製造を行う最後のハイテク大手の1社になった理由と、シリコンバレーの象徴的企業の多くが米国内での製造をやめた理由について尋ねた。Grove氏は1997年5月から2005年5月までIntelの会長を務め、1987年から1998年までは最高経営責任者(CEO)の職に就いていた。
Intelが先ごろ、米国内の新しい工場と施設に80億ドルもの大金を投資すると発表したことは、同社の製造戦略を顕著に示している。同社はそれ以前にも、Micron Technologyと共同でフラッシュチップ製造ベンチャーに投資するなど、米国内の同社工場に既に約340億ドルを投じている。
Grove氏によると、Intelは1968年の創設以来、米国内でチップを製造(言い換えると「工場で製造」)してきたが、それには現実的な理由があるのだという。「愛国心から米国内で製造を行ってきたわけではない。経営の観点から、それが最も理にかなったことだったからだ」。Grove氏は電話インタビューでこのように述べている。
創設以来、それがIntelにとって現実的な選択肢だったのはなぜだろうか。「テクノロジ分野の製造に携わる人々は高度なトレーニングを受けた規律正しいスタッフだった。また、そこら中で行き当たりばったりの製造事業に着手することは避けたいという気持ちが強かった」とGrove氏は言う。
米国が慢性的な失業問題に苦しむ中、「米国製」戦略が生む雇用創出という価値が再び注目を集めている。General Motors(GM)とChryslerを救済するというObama政権の取り組みは(皆さんが賛成かどうかは別にして)、米国内に重要な製造拠点を維持するための取り組みだった。これはIntelがずっと行ってきたことだ。
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