筆者は、「Fitbit」のようなフィットネス用のウェアラブル製品が登場した時の状況を思い出しながら考えてみた。これらの製品のどこが画期的だったのだろうか?また、人々はなぜ熱狂したのだろうか?
答えは本当にフィットネスにあったのだろうか、それともフィットネスを何か楽しいものに変えるというアイデアだったのだろうか?
それこそが考えるべき重要なポイントであり、最近のフィットネストラッカーに欠けているものではないだろうか。初代のFitbitも他のWi-Fi接続型の歩数計と同様に歩数をカウントしてくれた。しかしそれだけではなく、目標に到達すると見返りがあるというゲーム性も付け加えられていた。また、友人と達成状況を共有したり、競争したりすることもできる。「FuelBand」や「Jawbone Up」、Fitbitが提供したのは、「ゲーム化」という数年前に流行したキャッチフレーズで語られるものであり、馬の鼻先にぶらさげる人参だったのだ。
「Fitbit Charge HR」は、Fitbitが仕掛けた最新の大きな動きだ。この製品には他社のフィットネスバンドやフィットネストラッカーの多くが採用し始めた心拍センサが搭載されている。そしてユーザーの心拍数を終日、しかも睡眠中にも追跡するとともに、同期機能を用いてすべての情報をスマートフォンに転送する。その見た目はFitbitの従来のフィットネスバンドとよく似ているが、それ以上の機能を有しているというわけだ。
Fitbit Charge HRの価格は、心拍センサ非搭載の「Fitbit Charge」よりも20ドル高いだけであるため(つまり149.95ドルであり、Fitbit Chargeは129.95ドルだ)、購入に際して悩む必要はなさそうだ。いや、実際のところまず悩まないだろう。249.95ドルというより高価な「Fitbit Surge」は、実質的に同じ機能を搭載しているが、ディスプレイが大きく、GPSが内蔵されているためランニング経路の追跡もできる。とは言うものの、一通りの機能を搭載しているという点で、149.95ドルのFitbit Charge HRはお買い得と言えるはずだ。
ただ、現実的な観点に立った場合、Fitbit Charge HRには熱狂に値する何かが欠けていると感じる。その理由は、Fitbitによる心拍数の扱い方にある。また、装着感も関係している。さらに、追加された心拍センサは筆者の日々のエクササイズで利用できそうだと感じたが、どれだけ使いものになるか(あるいはならないか)がはっきりしないのも一因となっている。確かに、この製品は心拍センサを搭載している現在利用可能な腕時計型のフィットネストラッカーのうちで最も優れているものの1つではある。しかし、筆者が望んでいた最高のフィットネスバンドというレベルにまでは至っていない。とはいえ、これは今入手可能なFitbit製品のなかでは最高のものだ。
筆者はFitbitのこの最新モデルが万人にとっても最高の製品かどうかを熟考してみた。
Fitbit Charge HRの見た目はFitbit Chargeや、生産終了となった「Fitbit Force」とほぼ同じだ。Fitbit Charge HRのバンドはゴムのような材質の、腕に巻き付けるタイプの無難なものとなっており、細い黒地のOLEDディスプレイに時間や歩数などのデータが表示されるようになっている。しかしディスプレイに何かを表示させるには側面のボタンを押す必要がある。
Fitbit Charge HRでは、それ以外の部分は少し異なっている。ストラップの留め金部分は通常の腕時計にあるようなバックル型となっており、今までのものよりも確実に固定でき、外れにくくなっている。そして本体背面の感触も異なっている。緑色LEDを使用する光学式の心拍センサ部分が背面から盛り上がっているため、Fitbit Charge HRを正しく装着した際には肌に少し圧迫感が感じられる。
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