Appleの経営陣が秘密を好むというのは、意外な新事実などではない。その秘密めいた感じは、消費者向けにはマーケティング上の魔法になるかもしれない。だが専門的な業界に身を置く多くの「Mac Pro」ユーザーは、Appleがスパイ映画めいたことをやめてくれれば非常にありがたく思うだろう。
最低価格が2499ドルであるMac Proは、Appleで最も高額な製品の1つだ。映画や写真、印刷、建築などの分野で働くクリエイティブな職業の人々にとっては、今でも頼りになる仕事道具である。しかし彼らの多くは、不規則な製品アップデートや将来計画に関する情報の不足が続いているゆえに、Appleへの忍耐力を失いつつある。そして彼らの持つ懸念に対して近いうちに何らかの対応がとられる兆しはぼんやりとしかない。
長年にわたってビデオプロデューサーとして働いているLou Borella氏は「Mac Proのユーザーはうわさに注意を払うような人々ではない」と語る。Borella氏が立ち上げた「We want a new Macpro(新しいMac Proがほしい)」というFacebookグループは2012年5月のスタート以来、1万9300回以上の「いいね!」を獲得している。「1年サイクルでリリースする予定がないなら、そう言ってほしい。そうすればわれわれユーザーを失うことはない。ユーザーを失うとすれば、それはAppleが何も言おうとしないからだ」(Borella氏)
この根比べは、2012年に1つの転換点を迎えた。Appleは、最後のアップグレードから2年近くたった2012年に、ついに新しいテクノロジを搭載したMac Proを発表した。一部の人々にとって、Appleがもたらしたものはあまりにも少なく、あまりにも遅かった。
多くの「Pros」、つまりMac Proユーザーは、Mac Proのプロセッサやメモリ容量はアップデートされたものの、Appleのノートブックやほかのデスクトップには何年も前から組み込まれている、より新しいテクノロジの多くが搭載されていないことに腹を立てた。あるユーザーはAppleの最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏に電子メールを送り、Appleは本当にMac Proコミュニティーを気にかけているのかと単刀直入に質問した。するとCook氏は、Appleに限らずどんな会社の幹部としても珍しいことをした。同氏は電子メールで返信し、Appleは「2013年に向けて非常に素晴らしいことに取り組んでいる」ので、心配しないようにと書いたのである。
Cook氏の約束があっても、AppleとMac Proのユーザーコミュニティーとの間の緊張関係は変わっていない。米CNETが10人以上の専門職のユーザーにインタビューしたところ、AppleのMac Pro以外のマシンでは満たせないニーズがあるが、Microsoftの「Windows」を搭載したマシンに切り替えたくはないため、困難な状況にいると彼らは語った。
「どんな場合でも、われわれが誰かの机の上に置きたいと思うのは、PCではなくMacだ」と語ったのは、Trailer Parkのシニア・オーディオ・ビデオ・エンジニアのBrian Miguel氏だ。Trailer Parkはエンターテインメント業界向けに、有名な映画やテレビ番組の予告編や、ポスターなどの宣伝用コンテンツを作成するハリウッドの会社だ。「いろいろなビジネス用アプリや会計アプリでさえ、われわれは安いPCではなく、パワーアップさせた『Mac mini』で使っている」(Miguel氏)
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