Facebookのパスワード開示の強制--問題の広がりと政治的な動き

Charles Cooper (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年03月29日 07時30分

 取り立てて目を引く話題のなかった金曜日には、それはとても大きなニュースのように思えた。米国時間3月23日、太平洋標準時で午前5時を少し回ったころ、Facebookは同社のポリシー担当最高プライバシー責任者(CPO)であるErin Egan氏の承認の下、ある声明を発表した。

 Egan氏の声明は雇用者に対する警告だった。人々のFacebookプロフィールや個人的な情報にアクセスするためにユーザープロフィールやパスワード情報を要求すると、訴訟という面倒な事態を招くことになるかもしれないという。

 雇用者やその他の人々が、他人のFacebookプロフィールや個人的な情報に対して不適切なアクセスを行おうとしているという報告報告がこの数カ月で大きく増加している。こうした慣習は、プライバシー保護の期待、そしてユーザーとその友達の両方のセキュリティを損ねる。また、そのようなアクセスを求める雇用者には予期せぬ法的責任が発生する可能性も秘めている。

 これらの慣習で最も憂慮すべきなのは、求人の応募者や従業員に対して、パスワードの開示を求めた事例が報告されていることだ。Facebookのユーザーは、パスワードを共有したり、自分のアカウントに他人がアクセスできるようにしたり、自分のアカウントのセキュリティを危険にさらす、または友達のプライバシーを侵害する可能性のある行為を許諾したりする必要は決してない。Facebookは、ユーザーが自分の情報を公開する相手をコントロールできるツールを提供するために、懸命に努力してきた。

Facebook Privacy

 すべてのテクノロジニュース各社はこの声明に刺激を受けて、先を争うように自らの見解を表明した。その一部は、プライバシーと給料の二者択一を迫られた求職者の例を紹介している。

 しかし、ここにニュースとなるような材料はあるのだろうか。コネチカット州選出のRichard Blumenthal上院議員は、あると考えている。同議員は先週、Politicoに対して、雇用者が雇用条件としてFacebookアカウントへのアクセスを要請することを禁じる法律を提案するつもりだと述べた。

 一見したところ、大勢の雇用者が突然、愚鈍という病にかかってしまったと信じるのは困難だ。事例となる報告あるからといって、そうした行為が大々的に広まっているということにはならない。

 それでも、Blumenthal上院議員とメリーランド州およびイリノイ州の議員たちは、州法を制定して、彼らが珍しいものではないとするこの慣習を禁じるよう求めている。確かに、思慮に欠ける雇用者に関する、事例に基づく証拠はいくつか存在する。例えば、筆者の同僚のDeclan McCullagh記者は先ごろ、この問題に関するMSNBCと米国自由人権協会(ACLU)のレポートを紹介した。さらに、The Associated Press(AP)が先ごろ掲載した記事もある。同記事は、面接官が求職者に対してFacebookのユーザー名とパスワードの提出を要求したという、企業の驚くほど非常識な例について詳述している。APの記事の該当部分は以下のとおりだ。

 2010年、Robert Collins氏は母親の死去に際して取得した休暇の後、メリーランド州公安および矯正サービス局での警備員の仕事に復帰しようとしていた。復職のための面接中、Collins氏はログイン情報とパスワードの開示を求められた。ギャングとの関わりがないかを同局がチェックできるようにするためというのがその理由だった。同氏は当惑したが、その要請に従った。「家族を養うためにこの仕事が必要だった。そうするしかなかった」と同氏は述懐する。

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