米連邦通信委員会(FCC)は12日(米国時間)、インターネット上でのみ行われる音声通話は、従来の政府による電話サービス規制の対象外との判断を示した。これにより、ネット電話サービスへの規制をめぐる問題で、インターネット電話サービスプロバイダ側が、部分的ながら勝利を勝ち取ったことになる。
FCCは、VoIP(Voice over Internet Protocol)プロバイダのPulver.comから出されていた、20世紀に敷設された電話網に適用されている政府規則、税金、義務のインターネット電話サービス事業者への適用を免除するよう求める要望書を承認した。ただし、承認の可否については、同委員会の中でも判断が分かれた。
FCCのMichael Powell委員長は「(インターネット電話は)インターネット上で盛んに行われている電子メールや、他のPtoPアプリケーションなどと何ら変わらない」とし、さらに「これまでもインターネット電話サービスが電気通信サービスとみなされたことは一度もない」と述べた。
今回のFCCの決定は、VoIPプロバイダへの規制適用を大幅に制限するものだが、従来の電話サービス事業者への規制が従来の電話システムと相互接続するVoIPサービスにも適用されるか否かという問題については触れていない。そのため、今回のFCCの決定は、現時点ではPulver.comの「Free World Dialup(FWD)」ならびに同様のVoIPアプリケーション、すなわちコンピュータ間の音声通話用ソフトにのみ適用可能で、コンピュータと一般電話間の通話を可能にするソフトには適用されないことになる。
今回のFCCの決定が適用されるその他のアプリケーションとしては、PtoP技術を使った「Skype」や、Microsoft、Yahoo、America Onlineが提供しているインスタントメッセージングプログラムなどが挙げられる。しかし今回の決定では、家庭向けIP電話サービス最大手のVonage Holdingsやケーブルテレビ大手各社が提供する、ブロードバンド接続が可能なコンピュータから世界中のどこにでも電話がかけられ、また逆に電話を受けることもできるVoIPサービスについては、明確な判断が示されなかった。
FCCは、12日の満場一致で可決された2回目の採決の中で、ほかのVoIPサービスの処遇を決定するために、一般大衆の意見聴取を開始すると述べた。FCCの委員らは、従来の電話サービスにより近いVoIPサービスについては、別のアプローチを取る可能性があると警告している。
「VoIPアプリケーションがより複雑であったり、従来の電話サービスに近かったり、あるいは公共交換電話網を少しでも利用するものである場合は、問題はさらに複雑化する」(Powell)。
またFCCは12日、警察による通信傍受などを認めた、捜査当局による通信傍受の援助法(CALEA)のVoIPサービスへの適用の可否をめぐる問題の解決に向け、規制策定の手続きを開始した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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