通信傍受法の対象となっていないインターネット電話(VoIP)は、その急速な普及につれて、国家安全を脅かす存在となりつつある。米連邦捜査局(FBI)は、ここ3週間で少なくとも2回は連邦通信委員会(FCC)の幹部と会合を開き、テロリスト対策としてインターネット傍受の立法化を訴えた。
FBIの草案では、ケーブルモデムやDSLサービスなどのブロードバンドサービス事業者に対し、警察の監視用ハブ構築のために当局が定めた規則に従うよう求めている。
FBIは既存の通信傍受法のもと、DCS1000システム(旧称:Carnivore)を利用してブロードバンド接続利用者を監視できる。しかし、当局が懸念しているのは、ISPが標準仕様に準拠した監視ハブを提供しなければ、容疑者は盗聴をうまく回避してしまうことだ。VoIPを利用されてしまうと、少なくとも監視は複雑になる。
通信傍受に関する議論の発端は、1994年に制定されたCommunications Assistance for Law Enforcement Act(CALEA:捜査当局による通信傍受の援助法)にまで遡る。当時、通話転送やキャッチホン、携帯電話などの新技術がFBIの監視の妨げとなったため、当局は米国議会に同法の施行を訴えた。
これを受けて議会は、通信事業者らにネットワークの再配線を命じ、盗聴器に対応させるようにした。その際議会は、規制対象範囲の具体的な定義をFCCに任せた。これまでのところ、FCCの解釈では、CALEAの規制範囲はアナログ電話と携帯電話サービスのみである。
Telecommunications Industry Association(米国通信産業協会)は、「FBIの懸念は、DSL経由のVoIPがCALEAの対象外になるかもしれないことだ」と指摘する。なお、米Cisco Systemsをはじめ、同協会の一部のメンバー企業は、すでにCALEAのガイドラインに沿った製品を製造している。一方、米SpeakeasyなどのDSL事業者やAmerican Civil Liberties Union(ACLU:アメリカ自由人権協会)は、VoIPにCALEAは適用されないと考えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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