価格競争が進むネット電話市場で、後発のサービスプロバイダー各社は、加入者を集め、自社のサービスを差別化するための、新しい変わった機能を打ち出している。
例えば、ロマンチックな関係を絶つのが、面と向かっては無理・・・というなら、電話が代わりに別れ話をしてくれる。VoicePulseというIP電話事業者が提携しているRejection Hotlineは、恋愛感情はないことを説明する数パターンの録音メッセージから選んで、望まない人からの電話を自動的にそのメッセージに転送するというサービスだ。
「誰でも、そういう立場に置かれたことがある」と語るのはVoicePulseのCEO、Ravi Sakaria。同氏は先日、自社のVoIPサービスで提供する他の新機能と共に、この代理サービスを大々的に発表した。VoIPは、いま通信業界を席捲している技術だ。
サービスプロバイダの間では、現在VoIPへの関心がうなぎ登りで、各社とも企業および家庭ユーザーの需要の急激に増加すると期待している。VoIPを使えば、長距離電話の費用が下がるというのも、この需要増加の理由のひとつだが、しかしVoIPの売り文句はすでに、コスト削減から新機能へと変化しており、業界は直視したくない事実を突きつけられている。つまり、数百万もの顧客を説得し、現在加入している電話会社から実績のないベンチャー企業に乗り換えさせるには、価格だけでは充分ではないという事実だ。そして、自社と変わらない料金を提供するライバルと競合するとなると、価格の安さだけでは限られた成功しか収められないだろう。
アナリストらの予測によると、VoIPの価格は来年後半に底を打ち、プロバイダ各社は、既存の電話サービスでは得られない音声以外の機能提供を迫られることになるという。
こうした競争激化の結果として、家庭の電話が激変する可能性がある。家庭の電話は、約半世紀もの間、独占的な通信事業者の人質となってきた。だが、VoIP業者の提供し始めた新機能が、処理能力とメモリはもちろんのこと、インタラクティブでサイズの大きなカラー画面を搭載した、さらに高性能な端末(すでに導入している企業もある)の需要を牽引するかもしれない。
この端末の普及が、現在はまだ参入していないソフトウェア開発コミュニティをも引き付け、VoIPアプリケーションの開発につながる可能性がある。
InfoTechのシニアアナリスト、Wayne Williamsは次のように語る。「現在のところ、こうした動きはまだ起こっていない。だが時間の問題だ。音声はコモディティ化し、プロバイダが他社と差別化を図る上で、このようなアプリケーションは非常に重要になる」。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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