NTTドコモは1月24日、同社のネットワーク設備の監視や復旧作業を24時間365日体制で行っている東京のネットワークオペレーションセンター(NWOPC)を報道陣向けに披露した。同日は、ドコモ執行役員 サービス運営部長の丸山洋次氏が、ドコモのネットワークを安定的に運用するための取り組みを説明した。
ドコモのNWOPCでは、東京と大阪の2つの拠点で、全国の約26万台のネットワーク装置を監視している。東京の拠点は約200人体制で、北海道、東北、関東甲信越、東海、北陸エリアを、大阪の拠点では約100人体制で、関西、中国、四国、九州エリアを担当。2012年10月よりこの2拠点のシステムを繋ぎ合わせ負荷を分散することで、片方のセンターが被災しても、数秒でもう片方のセンターに切り替えられるようにしている。
監視業務では、装置からのアラームによってネットワークの故障やトラフィックの異常を発見。その後、該当の装置を遠隔操作してネットワークを正常な状態に戻す。丸山氏によれば、これらの故障のうち99%は遠隔操作で回復できるそうだ。ハードウェアの故障など遠隔操作では対応できない場合は、すぐに現場への故障手配を実施する。
ネットワークの信頼性を向上するための取り組みも語られた。ドコモでは800MHz帯と2GHz帯など、異なる周波数の基地局や無線制御装置を重ね合わせたエリアを構築している。これにより、1つの周波数の基地局や装置が故障しても、残りの基地局や装置によって、正常な通信を継続できるとしている。
また、2011年3月11日の東日本大震災以降は、大規模災害への対策も進めた。丸山氏は災害での復旧作業などを通じて、(1)被害が広域である場合の復旧作業の長期化、(2)基地局の電力の確保、(3)寸断された際の伝送路の確保、(4)一般消費者への迅速な情報提供という、大きく4つの課題が浮き彫りになったと説明する。
そこで、同社では広域災害や停電時も通信を確保できる「大ゾーン基地局」を全国104箇所に設置。一般的な基地局のカバー範囲は半径数100m~数kmだが、大ゾーン基地局では半径約7Kmをカバーできるとしている。ただし、こちらは消防や自衛隊など、復旧作業にあたる機関が利用できる災害時優先電話を主な利用対象としている。
また、都道府県庁や市町村役場など、重要なエリアの通信を確保するため、2011年6月末にエンジンによる無停電化を、2012年2月末にバッテリの24時間化を実現した。伝送路が寸断された際には、衛生エントランス回線を活用できるよう、可搬性に優れた衛星システムを配置し、車載型移動基地局も倍増させた。
無線で通信できる装置であるマイクロエントランスは約40Kgあるが、被災地では道路が土砂で覆われて車が走行できないことも少なくない。そこで約2Kgの小型軽量マイクロエントランスを用意し、作業員がリュックサックに入れて移動することで、より機動的な復旧が可能になるとしている。「いろいろな工夫をしながら、とにかくお客様のサービスを途絶えさせない」(丸山氏)。
このほか、緊急地震速報や津波警報を指定したエリアに一斉配信する「エリアメール」は、全国1789自治体のうち約89%にあたる1594自治体が導入しているという。また、災害で音声が繋がりにくい時でもデータ化した音声を届けられる「災害用音声お届けサービス」や、通話エリアの復旧状況を把握できる「復旧エリアマップ」など、災害時に役立つサービスも拡充させた。
同社では、今後も全国のネットワークを常時監視するとともに、さまざまな自然災害に対応するための各種ツールを活用することで、顧客が安心して利用できるネットワークを構築していきたいとしている。
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