ジャパンベンチャーリサーチ(JVR)は2月6日、同社が保有する資本政策データベースをもとに作成した、2011年までの国内未公開ベンチャー企業の資金調達状況についてのレポートを発表した。
レポートによると、2011年の国内未公開ベンチャー企業の資金調達額は前年より14%少ない550億円、資金調達を行った企業数は前年比30%減の270社だった。直近のピークであった2000年代半ばからの減少傾向が止まらず、ピークと比較して金額は4割、社数は3割の水準となった。
設立から5年以内に増資を行った企業数は、2008年までは2~3割だったのに対し、2009年以降は1割前後に低下、2011年も12%ほどにとどまった。ベンチャー設立後の成長資金へのニーズが高いアーリーステージの企業にとって、資金へのアクセスは厳しい状況であることがうかがえるとしている。
一方で、1社あたりの調達金額(中央値)は2009年を底に増加に転じ、過去10年の平均的な水準に回復した。厳しい経済環境の中で産業の転換期を迎え、クリーンテクノロジやバイオテクノロジなどの資本集約型産業の増加に加え、海外志向ベンチャーや革新的なビジネスモデルなど、有望なベンチャーを発掘しようとする投資家による出資先の選別が行われているなどの要因が考えられるという。
ベンチャー企業の出口である新興市場IPOとの関連について、未公開ベンチャー企業の調達額上位25%の値の推移との間に類似性が見られた。IPO市場が活況であれば、IPOを見込んでの投資活動も活発になり、ベンチャーキャピタル(VC)などの大型の投資家から多額の資金を得やすくなるためと考えられる。
近年のIPO市場の低迷はVCなどの投資を減少させてきたが、IPO数の底打ちにより資金調達額にも上昇が見られ、今後はIPO市場の回復とともに未公開ベンチャーへの資金供給が力強さを取り戻すと予想される。
同レポートは、約5000社の成長型ベンチャー企業の情報を所蔵するJVRデータベースをもとに、2000~2011年の各年で未公開ベンチャー企業(IPO企業の上場前を含む)の資金調達状況を調査し、まとめた。
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