日本版フェアユース、「現状では誤解と混乱を招くだけ」--法制問題小委で権利者側が主張 - (page 2)

 また、障害者放送協議会著作権委員会委員長の井上芳郎氏は「障害者の障害は多種多様で、現状の個別規定では彼らが必要とする環境を整えるための要件に対応しきれていない。もちろん、放送局や放送機器の側で対応してくれればいいが、現状はそうなっていないからこそ、一般規定により第三者の二次利用を認めて障害者向けの著作物の視聴環境が整えられるようにしてほしい」と要望。

 さらに、日本図書館協会著作権委員長の森一郎氏は「現在の著作権は非常に強力な権利であり、現状では個別利用で定められた意外の利用方法について権利者が協議そのものに応じてくれなければ二次利用の道そのものが絶たれてしまう。それ以上に、いずれの団体にも委託されていない著作物もあり、連絡先すらわからず許諾のとりようがないという問題もある」と現状の問題点を述べ、こうした状況の打開策として、フェアユース規定が有効である点を強調した。

 これに対し、日本経済団体連合会(経団連)は中間的な立場を表明した。同団体の知的財産委員会著作権部会長の和田洋一氏は「6月に改正された著作権法により、検索エンジンのキャッシュの問題など一般規定で想定されるケースの大部分がケアされたと思っている」と明言。加えて、著作権制度の中長期的なあり方として、現行の制度を基礎としながら、産業的に制作される著作物の利用の円滑化を図る“産業財産権型コピーライト”や、権利者が自由な利活用を認めて著作物の利活用の円滑化を図る“自由利用型コピーライト”といった複数のオプションを用意し、権利者の裁量によって選択できる“複線型著作権制度”の導入を提案した。

「文化庁法制問題小委員会」第4回会合 「文化庁法制問題小委員会」第4回会合

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