対談:デジタル著作権ってどうなってるの?(前編)

 デジタルコンテンツ市場の拡大とともに著作権絡みの議論が活発になっています。今回は2回にわたってデジタルコンテンツと著作権事情に詳しいリーバマン法律事務所の石井邦尚弁護士との対談をお届けします。

成井:石井先生、まず最近のデジタルコンテンツビジネスについて法律家としてどのように思われているかお聞かせ下さい。

石井:情報あるいはコンテンツのデジタル化、パソコンとインターネットの普及は、ビジネスだけでなく、コンテンツに関連する法律のあり方の議論にも大きな影響を及ぼしています。

 デジタルコンテンツは複製しても劣化せず、加工も容易で、かつインターネットの普及により送信、伝達も手軽になりました。パソコンとインターネットが個人レベルに広く普及したことにより、デジタルコンテンツの作成・加工やその発信が個人レベルで行われるようになっています。

 こうした特徴から、これまでのアナログコンテンツとは違ったビジネス手法や既得権利者との利害の調整が求められています。また技術の発展と権利の保護とのバランスも課題です。権利保護の声が大きくなると「技術を止めるのか」と言った声も聞こえてきます。

弁護士の石井邦尚氏、アイドック 代表取締役の成井秀樹氏左からリーバマン法律事務所の石井邦尚弁護士、DRM事業を展開するアイドック 代表取締役の成井秀樹氏

成井:大雑把に言って、権利を保護しなければならないといった意見と、権利を制限しなければデジタルコンテンツビジネスは成長しないと言う意見の対立に見えますが…。

石井:表現は難しいのですが、立法論も含め、法律の議論も市場原理によって動くようなところがあって、誰が力を持っているかも微妙に影響します。

 これまではどうしても「従来の形の権利」を保護したいと思っている既得権利者の声が反映される傾向が強かったのですが、最近はGoogleやYouTubeなどに代表されるインターネットサービスやAppleのiTunesのようなビジネスによって、むしろ従来の形の権利を制限することによってビジネスを拡大しようとする力がより強くなってきて、一概に既得権利者の声を法律が代弁すると言った単純な図式ではなくなりました。

 また、例えば日本の著作権法が時代の要請にそぐわないままでは日本企業の競争力をそぐという意見などもあり、国際的な競争も法律の議論に影響を及ぼしています。

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