欧州委員会は、542ページに及ぶ決定の中で、リベートには消費者向け価格を下げる効果がありうることは認めつつも、リベート支払いに際し、競合する会社の製品の購入を減らす、あるいは完全に取りやめるよう条件付ける行為は不正だと述べている。
「Intelの価格方針は、コンピュータメーカーが必要とする製品のうち、競争に開かれた部分でAMD製CPUの購入を選択した場合、より大きな部分を占める、Intelから購入する以外に選択肢のない製品について、リベートのすべて(あるいはその大部分を)結果的に失うように設定されていた」と同委員会は述べている。「そのためコンピュータメーカーは、購入先がIntelしかない供給部品については、より高い対価をIntelに払わざるを得なくなる」のだという。
欧州委員会では、AMDがあるメーカーに対しCPU100万ユニットの無料提供を申し出たが、さらに多くのCPUでIntelから受けとっているリベートを失うことになるという理由で、メーカー側が無料CPUを16万ユニットしか受けとらなかった経緯を記述している。
また、Intelがコンピュータメーカーに金を払い、AMD搭載製品の立ち上げの延期や取りやめ、あるいは流通経路の制限に追い込んだこともあると、欧州委員会は述べている。一例を挙げると、あるメーカーはAMD搭載のビジネス向けデスクトップ機の販売対象を中小企業に限定し、販売チャネルを直販のみとすることで、金の支払いを受けたという。この会社はさらに、同社初となるAMD搭載ビジネス向けデスクトップ機の欧州販売を6カ月遅らせたことでIntelから金を受け取っている。
Intelの独禁法に違反する規定の多くは、同社の契約書には明確に記されていなかったが、欧州委員会は抜き打ちの立ち入り検査を通じて入手した電子メール、公的な情報提示の要求、およびこの件に関係する他社から提出された証拠資料のなかに、こうした規定の存在を裏付ける証拠を発見した。「加えて、Intelが(リベートの)支払いに関連する条件を隠ぺいしようと努めたという証拠もある」と欧州委員会は注記している。
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