欧州委員会(EC)は現地時間3月4日、ソフトウェアメーカーのMicrosoftへの積極的な監視を終了すると発表した。これは同社が独占禁止法違反を認定された2004年の裁定に従っていることを確認するために、ECが行ってきたものだ。
ECは2005年、Microsoftがワークグループサーバ向け「Windows」に関する相互運用性情報を競合ソフトウェア企業に提供しているかどうか評価するため、中立的な立場の監視委託人1名を任命していた。ECは3日、CNET Newsの姉妹サイトであるZDNet UKの取材に対し、同社を常時監視する必要はもはやないと述べ、今後は同裁定に関する問題が起きた場合にその都度同社に勧告を発する「随時支援」を実施していくと語った。
「われわれは常勤の監視委託人を抱える必要はもはやないと考えている。Microsoftはすでに行動を改めているうえ、サードパーティーは自国の裁判所でその権利を行使できるからだ」と、ECで独占禁止法違反対策の広報を担当するJonathon Todd氏は語った。
常勤の監視委託人は廃止されるものの、Microsoftは引き続き相互運用性に関する完全かつ正確な情報を提供する義務を負うと、ECは声明の中で述べている。ただし、Microsoftが相互運用性に関するオリジナル情報一式をすでに文書化していること、およびMicrosoftがサードパーティーとのライセンス契約の中で、両者の間に意見の相違が起こった場合、サードパーティーが自国の裁判所で訴えを起こしてもよいとしていることについては、ECも評価している。
Microsoftが相互運用性に関する情報を競合他社に提供する義務を負ったのは、2004年に当時の競争政策担当委員、Mario Monti氏が下した裁定のためだ。この独占禁止法違反の裁定は、ワークグループサーバ向けソフトウェアの相互運用性に関する問題について監視による対応を決定しただけでなく、Microsoftが「Windows Media Player」をWindowsにバンドルしていた行為についても、反競争的行為だと認定した。ECは裁定の中で、相互運用性に関する情報の公開を求めただけでなく、Windows Media Playerのバンドルを中止し、4億9700万ユーロ(当時の換算で6億1300万ドル)の罰金を支払うようMicrosoftに命じた。
ECは2008年にも、Microsoftに対して再び罰金を科した。Microsoftが2004年の裁定に従っていないとして、8億9900万ユーロの支払いを命じたのだ。Todd氏によれば、Microsoftはこの罰金を支払ってはいるものの、この件について同社が控訴し、その判決がまだ出ていないため、金は銀行口座に留め置かれたままとなって利息が膨らんでいる状態だという。
ECはほかにも、ウェブブラウザ市場の独占に関するものなど、Microsoftがらみの独占禁止法違反調査を行っているが、これらの件については依然調査中の状態だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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