ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のBeboで、レコードレーベルとミュージシャンの勧誘を担当していた幹部のAngel Gambino氏が退職した。AOLによる8億5000万ドルでの買収に続く、幹部陣の「脱出」の一環とみられる。
Beboで音楽およびコンテンツ担当のグローバルバイスプレジデントを務めていたGambino氏は、同社を去った創業者のMichael Birch氏とXochi Birch氏の後に続いた。この件に詳しい情報筋の話によると、少なくともあと2人は退職を考えているマネージャーがいるという。
AOLによる買収に批判的な一部の人々は、Beboが大企業の傘下に入って型にはまりすぎてしまったら、10代の会員は離れてしまうのではないかと懸念していた。Gambino氏の退職は、AOLがBeboの買収額の正当性を擁護するのに苦労しているさなかに報じられた。Time Warnerの最高経営責任者(CEO)Jeff Bewkes氏は5月の最終週、「Wall Street Journal」(WSJ)紙主催の技術関連会議「D: All Things Digital」で、「(AOLは)買収額を払いすぎたかもしれない」と認めた。
Gambino氏はCNET News.comの取材に応じ、所有していたBeboの株式は、5月19日の週に全額現金による買収手続きが完了した時点で、すべて利益が確定したことを認めた。この利益のおかげで、小さな息子と過ごす時間ができるという。
Gambino氏は、1年前にMTVからBeboに移籍して新興企業の一員になったが、また別の新興企業に参加したいと述べた。同氏がBeboを去ったもう1つの理由は、AOLではBeboの音楽コンテンツ事業開発が最重要視されていなかったためだという。
「現在の優先事項は、ICQとAIMの統合だ。AOLはコミュニケーションツールに注力しており、ツールをプラットフォームに組み込もうとしている。音楽も協議事項に挙がっているが、最優先事項ではない」と、Gambino氏は述べた。
MySpaceやYouTube、imeemが音楽コンテンツを充実させていくなか、Beboはずっと傍観者だった。imeemは、すべてのメジャーレコードレーベルから楽曲のライセンス提供を受け、無料でストリーミングサービスを提供している。YouTubeも、ロックビデオを提供してユーザーが自分の動画に挿入できるようにする契約を結んでいる。
MySpaceもまた、大手レコード会社4社と提携して、楽曲のストリーミング提供、ダウンロード販売、広告支援型の楽曲サービス、コンサートチケットの販売などを行っている。
音楽業界のある人物はこう語る。「Beboには音楽がなかった。Beboは音楽に心底飢えたコミュニティだが、彼らは何も手を打たなかった。Beboは1年前、レコード会社に行き、正式に音楽に取り組む計画があると話した。だが、何も起こらなかった」
その原因は1つのこと、つまり金銭だったと、Gambino氏は語る。
「Beboには、レコード会社がライセンス料として要求する金額を、積極的に払おうという意志がなかった。Beboには、現金もなかったし、MySpaceのようなリソースもなかった。豊富な楽曲ライブラリを持つことが、それほど利益につながるとも思っていなかった」(Gambino氏)
Beboはその代わりに、より草の根的なアプローチを採用し、同サイトで楽曲を披露することに興味を持った無所属のアーティストに、プロモーションの場を提供した。
「われわれは、創造的に新しいモデルを提供しようと試みた。実際、いくつか新しいモデルを作り出した」(Gambino氏)
AOLとBeboの関係者からはコメントを得られなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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