台湾とアイオワ州は遠く離れている。
しかしその距離は、Gatewayが過去20年をかけて、アイオワ州の農家で起業したPC直販メーカーから、米国のコンピュータ業界における一大勢力へと成長する過程でたどってきた道のりに比べれば、どうということはない。
台湾のPCメーカーであるAcerが米国時間8月27日にGateway買収に同意したというニュースは、それほどショッキングなものではなかった。というのも、少なからぬ人数の事情通が、Gatewayの買収は数年越しの懸案になっていると述べてきたからだ。しかし、買収額が7億1000万ドルとは、Gatewayが1997年にはCompaqから70億ドルで買収提案を受けていたことを思い起こせば、なんという転落ぶりだろう。ちなみに、Compaqは後にHewlett-Packard(HP)に買収されている。
不振続きの四半期決算、トップ経営陣の相次ぐ交代、一貫性に欠けるビジネス戦略のせいで、Gatewayは独立企業としての22年の歴史に終止符を打つことになってしまった。Gatewayは、2000年に始まった景気後退によって大きな打撃を受け、そこから立ち直ることができなかった。それ以後、Gatewayの企業としての独自性は絶えず揺れ動き、小売販売の拡大、家電分野への進出、低価格PCメーカーのeMachinesの買収を行ってきた。だが、こうした新戦略は、どれ1つとして成功しなかった。
今後、Gatewayの原点とも言うべきイメージを復活させ、PC業界の2大ライバルであるHPやDellと競合するようになるかどうかは、Acerの手腕にかかっている。ここ数年、Gatewayの行く手の定まらない冒険を見てきた人々にとって、明確な目標を持つ新しい経営陣がかじ取りをすることは、おそらく嬉しい知らせであり、長年の願いでもある。Current Analysis Westのアナリスト、Samir Bhavnani氏は、「つまるところ、Gatewayはここ数年、まるでeBayを目指しているようなものだった」と語る。
1985年に設立されたGatewayは、Dell風の直販モデルを基盤とし、当初は大きな成功を収めた。1990年代のピーク時には四半期ごとに20〜30%の成長を遂げ、今のAcerのように当時最も急成長を遂げたPCメーカーだった。
1997年、創設者兼最高経営責任者(CEO)のTed Waitt氏は、Compaqとの合併を提案されたがこれを拒否した。実現すれば、Gatewayは当時世界最大の一般消費者向けPCメーカーとなるはずだった。合併話を断った後、Gatewayは、ソフトウェアサービス、金融業務、インターネット接続などの事業に進出した。
しかし、こうした事業は、牛模様の箱に入れたPCの直販ほどにはうまくいかなかった。1999年、Waitt氏は辞任し、Jeff Weitzen氏がCEOの職を引き継いだ。2000年になると、PC業界は需要の大きな落ち込みに見舞われ、Gatewayの出荷台数も見る見る減少した。調査会社IDCが集計したデータによると、2000年に420万台あった同社の出荷台数は、2001年には320万台に、2002年には270万台に下がり、2003年にはついにどん底の190万台にまで下落した。
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