しかし、Dellの核となるPCビジネスは芳しくなかった。モバイル製品(基本的にはノートPC)は、出荷台数が2%しか増加せず、売上高は2%減だった。デスクトップの売り上げはさらに悪く、出荷台数が18%減、売上高は17%減だった。NPD GroupのアナリストStephen Baker氏は、「これらの数字を見れば、Dellだけが需要の問題を抱えていることが分かる」としている。
PC市場全体を見れば、ある程度需要の変化は見られる。先進諸国の消費者の間ではノートPCへの移行が進みつつあり、デスクトップPCの人気が低下し始めている。また、Dellの売上高の大半を占める法人顧客が、米国を中心にMicrosoftの新しい「Windows Vista」OSの評価で数カ月前から購入を控えている。
だがDellは、この傾向にほかのどのベンダーよりも大きな影響を受けた。それは、デスクトップ、企業、そして米国の顧客のセグメントを同社が歴史的に得意としてきたためだ。IDCとGartnerによると、Dellは第4暦四半期にマーケットシェアを落としてしまったという。
店頭で購入する消費者は、既にノートPC指向を鮮明にしている。直近のホリデーシーズンでは、販売されたPCの3台に2台がノートPCだった。また、まだ動きは遅いものの、企業もその方向に向かいつつある。Baker氏は、「Dellの長所から遠ざかる方向に市場構造の転換が進んでいる」と語っている。
皮肉な展開として、Dellの業績低迷は同社の収益を引き上げた。同社は年間標を達成できなかったため、1億8400万ドルのボーナスを社員に支給しなかった。これが、結果的に今四半期の1株当たり利益を6セント引き上げることになった。
一方で、同社は業績転換に向けた措置も講じつつある。Michael Dell氏は、複数の大物を連れて同社CEOに復帰してきた。消費者ビジネスを統括する元MotorolaのRon Garriques氏と、生産部門を統括する元SolectronのMike Cannon氏だ。一方、Rollins氏は5月までDellに在籍するが、テキサス州ラウンドロックの本社には常勤せず、同社の戦略見直し作業にも携わらないと、Pearson氏は語っている。
流通および製造戦略の見直しなど、Dellはいくつかの変更を実施する必要があるが、製品分野での方向性見直しが最優先されるはずだと、Baker氏は語っている。
同氏は、「Dellに関して忘れてならないのが、つい最近まで同社が通好みの会社で、最先端の会社だったことだ。(Dellなら)最も優れたデスクトップやノートPCをかなり安く購入できる。彼らは、その自慢の名声を製品ラインアップで取り戻す必要がある」と語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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