オープンソースソフトウェア企業が結束して、各社の製品の相互運用性確保を目指すグループを結成した。Oracle、IBM、Microsoftといったプロプライエタリソフトウェア企業はソフトウェア間の緊密な統合を売りにしており、これに対抗するのが狙いだ。
このグループは「Open Solutions Alliance」(OSA)といい、設立メンバーにはCentric CRM、EnterpriseDB、JasperSoft、SpikeSourceなどの企業が名を連ねている。参加企業は米国時間2月14日、ニューヨークで開催中のオープンソースカンファレンス「LinuxWorld OpenSolutions Summit」でグループの設立を発表した。
Centric CRMの最高マーケティング責任者(CMO)で、グループの設立に尽力した1人でもあるMichael Harvey氏は「プロプライエタリソフトを作っている大手ベンダーの中には、まずはこれ1つで完結するソフトウェアスイートを作り、その後で相互運用性も多少は考慮しようという考え方をしているところもある」と話す。
Harvey氏によれば、今回の取り組みにより、顧客関係管理(CRM)にCentricのソフトウェアを利用している顧客が、JasperSoftのデータマイニングソフトウェアを使って顧客記録の中から特定の情報を抜き出すといった作業が、これまでより簡単になるといったメリットが考えられるという。
ところで、今回の発表では、メンバーに入っていておかしくない企業が外れているのが目に付く。例えば、データベース企業のMySQL、CRMソフトウェアのSugarCRM、Linuxやサーバソフトウェアを販売するNovell、そしてオープンソース企業の申し子でLinuxやJavaサーバソフトウェアを販売するRed Hatなどだ。
実は、Red HatとNovellはMicrosoftが2006年に立ち上げた別のグループ「Interop Vendor Alliance」に参加している。Interop Vendor Allianceにはオープンソースの推進役であるSugarCRM、XenSource、Sun Microsystemsといった企業だけでなく、BEA Systems、EMCというプロプライエタリ企業も参加している。Red Hatは13日、こちらのグループへの参加を発表した。Red Hatは、Javaをサーバで稼働させるため、同社のソフトであるJBossとWindows間の密接な連係を構築することなどを課題としている。
一方、OSA側のHarvey氏によると、OSAは小回りがきく小規模な体勢で発足したが、今はまだ参加していない企業の一部とはすでに連絡を取っているという。OSAはRed Hat、Novell、MySQL、およびSugarCRMと「前向きな議論」を行っていると同氏は語り、Microsoftも「われわれの活動を知っており、興味を示している」と述べた。
Open Solutions Allianceが今後予定している活動としては、ガイドラインと最良事例のドキュメント化、デジタルID管理の統一、オープンソースのライセンス管理問題の解決、テクニカルサポート提携の取りまとめなどがある。また、相互運用性、マーケティング、オープンソースコミュニティーのメンバーの取り込みという3つのテーマについて、それぞれ委員会が設けられる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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