Linuxの標準化と方向づけを目指す2つの団体、Open Source Development Labs(OSDL)とFree Standards Group(FSG)が、その影響力を強化するべく1つになった。
両団体は米国時間1月22日に合併を発表、新団体の名称は「Linux Foundation」となった。FSGでエグゼクティブディレクターを務め、新団体を率いることになったJim Zemlin氏は、「どちらも同じような機能を果たし、メンバーの多くが重複する両団体が合併することは意義があった」と述べている。
どちらの団体も、著名な企業のスポンサーを数多く擁しているが、Red Hatのような業界を牽引する企業ほどの強い影響力は持っていない。Red Hatは商用Linux市場を支配し、同社のディストリビューションがLinuxのデファクトスタンダードのような存在になっている。
しかし、2つの団体が合併すれば分かれて存在しているより強い影響力を及ぼせると、IT業界調査会社Ideas InternationalのアナリストTony Iams氏は分析する。OSDLのもつ技術的協力関係を、FSGの標準化作業の強化に利用できるならなおさらだ。自由な開発者コミュニティーが好き勝手に課題を設定することが多いLinuxでは、安定性を求める顧客のニーズが高まるにつれて相いれない面が出てきて、標準化作業がますます重要性を帯びている。
Iams氏は「新版(Linux)がリリースされることで、後方互換性の問題が浮上し始めている。」と述べる。「目を凝らしていると、少し古いアプリケーションを走らせるかどうかというところで、溝があることに気づき始めたということだ」(Iams氏)
OSDLは、ハイエンドのサーバ向けOSの改良を目的として2000年に設立され、Linuxの生みの親であるLinus Torvalds氏もTransmetaから移籍した。同団体は他のさまざまな技術領域に手を広げたが、2006年に活動を縮小した。
一方のFSGは、Linux開発ガイドライン「Linux Standard Base」(LSB)を管理している。LSBは、OSとより高いレベルのアプリケーション間のインターフェースを安定させる取り組みで、いっさい手を加えずにソフトウェアがさまざまなLinux上で動作するようにすることが目的だ。
新しくできたLinux Foundationは、両団体あわせて約45人のフルタイムおよび契約スタッフという構成になる予定だ。OSDLは2006年12月にスタッフを削減し、最高責任者のStuart Cohen氏も同団体を去った。
Zemlin氏は、商標管理、ソフトウェアインターフェースの標準化、知的所有権に対する脅威からのプログラマーの保護、業界パートナーとの連携などを総合的にみて、新団体の影響力がMicrosoftのもつ力に近づくことを期待している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」