HPの通話記録入手スキャンダル:シンギュラーが調査会社らを提訴

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2006年10月02日 11時27分

 携帯電話事業者のCingular Wirelessが、CNET News.com記者の通話記録の不正入手に関与したとされる企業や人物を連邦裁判所に提訴した。

 Cingularは米国時間9月29日、Charles Kelly氏とCAS Agency、そのほか匿名の複数の個人および企業を、ジョージア州北部地区連邦裁判所に提訴した。被告らは、今や米国の国家的スキャンダルとなったHewlett-Packard(HP)の情報漏えい源調査において、CNET News.comのDawn Kawamoto記者の通話記録を不正に入手する作業に関与した疑いがもたれている。

 Cingularは訴状のなかで、「Cingularの顧客情報へのアクセスについて、被告らは、Cingularや顧客からの許可も得ておらず、また召喚状も発行されていなければ、裁判所命令も下されていなかった」と述べている。Cingularが訴状のなかで被告の名に挙げたのはKelly氏と同氏の勤めるCAS Agencyのみで、HPや同社から調査を依頼された調査会社の名前は書かれていない。

 Kelly氏は28日に議会で開かれた公聴会で、Kawamoto記者の通話記録を入手する際に同氏が果たした役割について質問されたが、米国憲法で保障された黙秘権を理由に回答しなかった。HPは調査活動で、他人になりすまして個人情報を不正に取得する「プリテキスティング」という手法を使って十数人以上の通話記録を不正に入手したことを認めている。その対象には現職およびすでに退任した7人の取締役、9人のジャーナリスト、2人の従業員、その他の人々(人数は不明)が含まれる。

 Cingularは今回の訴訟で被告らに対し、不特定額の損害賠償と、Cingularへの一切の接触を禁じる差し止め命令を請求している。Verizon Wirelessも、HPのある幹部の通話記録を不正入手したとして、匿名の複数の個人を相手取って同様の訴訟を起こしている。

 今回の事件は、議会で公聴会が開かれたほか、連邦および州の刑事捜査の対象になっている。また、証券取引委員会(SEC)も今回の事件ついてHPに情報の照会を行っている。

 HPでは情報漏えい源の調査を開始した元会長のPatricia Dunn氏が辞任している。また、28日の公聴会直前には法律顧問のAnn Baskins氏が辞任するなど、事件発覚後、複数の人物がHPを去っている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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