シャープが大型液晶テレビ事業を強化する。三重県亀山市に液晶パネルの生産工場である亀山第2工場を建設し、需要が拡大している40型以上の液晶テレビ向けパネルを中心に製造する。これは1月12日に都内で開催された年頭会見で明らかになったもの。
亀山第2工場は第8世代と呼ばれる2160mm×2400mmのガラス基板を利用して液晶パネルを製造する。この大きさは「世界最大」(同社)といい、40型クラスのパネルを8枚、50型クラスで6枚を一度に取ることが可能となる。「第8世代は45型、52型を製造するのに最適なサイズだ」とシャープ 代表取締役副社長 技術・情報通信事業統轄の三坂重雄氏は話しており、52型の量産化を視野に入れている。
第8世代を採用した理由について、シャープ代表取締役社長の町田勝彦氏は「第8世代は40型以上だけではなく、32型や26型を作るにも効率がいい」と説明する。世界市場における液晶テレビの普及モデルは32型になると同社では見ており、大型と普及型の両方に対応可能な第8世代は投資効率が高いと判断したようだ。
図1:液晶の世代別ガラス基板サイズ。亀山第2工場の第8世代は第6世代のほぼ2倍の大きさだ |
亀山第1工場は1500mm×1800mmの第6世代を採用していた。Samsung Electronicsとソニーが合弁で設立したS-LCDが4月に稼働させる予定の工場は1870mm×2200mmの第7世代を採用する予定だ。
亀山第2工場は2005年7月に着工し、2006年10月の稼働を目指す。設備投資額は1500億円。ガラス基板の投入能力は月間1万5000枚といい、40型クラス換算で年間120〜130万台の生産が可能となる。2007年中には第2期生産ラインを導入し、ガラス基板の投入能力を月間3万枚に高める計画だ。
製造プロセスや材料を変更し、大型でもプラズマディスプレイ(PDP)と競争できる価格にする。部材メーカーと共同で新しい部材を開発するほか、産業技術総合研究所と20社以上の国内企業が出資して設立された、大型ディスプレイの製造技術に関する研究を行うフューチャービジョンの研究成果を利用する。生産プロセスについては、工場内搬送距離を2.5kmから1.2kmにまで短縮するほか、生産リードタイムを半減させる。これにより、第1工場にくらべ、45型換算で2倍の投資生産性を実現する考えだ。
液晶テレビはデジタル放送の開始に伴って需要が拡大している。同社の予測によれば、世界需要は2005年に1240万台、2006年に2260万台、2007年に3400万台と急拡大するという。シャープは現在液晶テレビの世界市場で首位の座にあり、DisplaySearchの調査によれば2004年第3四半期のシェアは28%という。今回の新工場建設で拡大する世界需要に対応し、韓国勢を引き離す考えだ。
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