だが、何カ月も続く長時間労働はもうたくさんだという者もいる。カナダ在住で匿名希望の元EA社員は、アートディレクターとして10万ドル以上を稼いでいたが、同社からあまりにも長い時間働くよう求められていたと述べる。同氏は、4カ月間無休で働いたり、約8カ月連続で週80〜110時間働いたこともあったという。
この元社員によると、EAは冷酷な経営スタイルをとっており、つい先日もゲームの出荷が遅れた開発チームのメンバー9人を解雇したという。「彼らは恐怖が支配する雰囲気を作りだし、それを利用している。そのため、EAではほぼ全員が自分の仕事を恐れている」というこの元社員は、仕事と家庭の両方から来るプレッシャーを扱いきれないと考えて約1カ月前に同社を退職した。
業界全体の問題
IGDAのDella Roccaは、従業員を疲弊させるような作業スケジュールは無意味だと言う。「喜んで働く従業員のほうが、生産性も高く、創造性も豊かだ」(同氏)。同氏によると、ゲーム業界は開発プロジェクトの初期段階におけるプロトタイプづくりに十分な注意を払っていないが、ゲームの本当のおもしろさを決定するのはこのプロトタイプだという。こうした初期のリサーチがない場合、土壇場での手直しが必要となり、それが従業員の負担増につながることもあると、同氏は述べている。
また同氏は、ゲームがますます複雑になっていることも、労働条件悪化の原因だと指摘している。たとえば、10年前には5人のメンバーで6カ月から1年かければ1つのゲームを開発でき、予算も10万ドル程度で済んでいたが、いまでは総勢200人程度のチームが1年以上の時間と2500万ドルもの予算をかけて1つのゲームを開発する場合もある。しかしゲーム業界では、こうした複雑さを増すプロジェクトを仕切るためのマネージメントトレーニングが存在しないとDella Roccaは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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