夢を売るビジネス
コンピュータゲームは、かつてのマニアのオモチャから、数十億ドルを稼ぎ出す主流製品へと変化した。業界団体のEntertainment Software Associationによると、米国のコンピュータ/ビデオゲームソフトの売上は、2003年には前年比8%増の70億ドルに達したという。 同協会によると、昨年のゲームソフトの売上本数は2億3900万本を上回ったが、これは米国の各家庭に約2本のゲームがある計算になる。
昨年は、EAだけでも「The Sims」「Harry Potter and The Chamber of Secrets」「Madden NFL Football 2003」など、22タイトルで合わせて100万本以上を販売している。同社は世界中で4400人の社員を抱え、カリフォルニア、テキサス、フロリダの各州とカナダ、英国、日本に拠点を構えていると、同社ウェブサイトには記されている。
さらに、EAでは年2回、従業員が匿名で社内の改善点を指摘できる調査を実施していると同社はいう。「この調査結果は、EAの職場環境を肌で感じている社員の意見であることから、われわれはこれを深刻に受け止めている」と同社は述べている。
現在も在籍中のある社員は、2001年に同僚とともにこの調査に回答し、長時間労働が問題であることを明確に指摘したという。しかし、イメージ開発を専門にする匿名希望のこの社員は、先日まで数カ月連続で週80時間働いており、自分の部下はさらに過酷なスケジュールで働いていると語った。「締め切り前の追い込み作業は、改善されるよりむしろ悪化している」(同氏)。
先述のブログを書いたEA社員の婚約者は、EAが先ごろ、今後はプロジェクトの最終局面で開発者に数週間の休暇を与えることはできないと伝えてきたことを明らかにした。
この人物は、CNET News.comのインタビューに応え、ゲーム業界における不適切な労働環境を把握する「監視」サイトの開設を検討中であることを明らかにした。同氏は書き込みに対するすさまじい反応に驚いたという。「あそこは火薬庫だった。社員たちがこれほど憤慨しているとは思わなかった」(同氏)
同氏のブログには、これまでに2000件以上のコメントが寄せられている。その多くは、開発者がこのように扱われている疑いのある企業はEAだけではない、というものだ。
これらのコメントは、今年はじめにIGDAが実施した調査の結果と合致する。ゲームの開発は、「ほとんどの場合、生活の質を維持することが困難な過酷な環境で進められている。このことが原因で、あまりにも多くのベテラン開発者が最高の成果を上げる前にこの業界から離れていく」(同協会)
この調査では、回答者のほぼ6割が通常週46時間以上働くと述べている。そして、95%以上は会社でいわゆる「追い込み期間」を経験したことがあるという。また、18%以上は2カ月以上続く追い込み期間を経験し、さらに3分の1以上がその期間中に週65〜80時間働いていたと回答している。
ゲーム業界関係者は一般に、大きな締め切り前に「追い込み期間」が必要になることが多く、この間には異例の長時間労働が求められることを認めている。
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