Snapdragonの強みとされているものの1つは、その性能だ。Snapdragonは1GHzで動作する。これは、処理能力に劣るARMアーキテクチャで1つの目標とされていた速度だ。このアーキテクチャで製造されるプロセッサは、通常はるかに遅い速度で動作する(英国を本拠地とするARMはサムスン、NVIDIA、東芝、パナソニックなどにチップの基本設計をライセンス供与しており、各社はこの設計を利用し、それぞれのニーズに合わせて変更している)。
SnapdragonはATIグラフィックスエンジンも搭載している。Qualcommは2月にAdvanced Micro Devices(AMD)のATIハンドヘルドチップ技術を獲得した。これにはMicrosoftの「Xbox」に使われている「統合型シェーダアーキテクチャ」の知的所有権も含まれる。
Frankel氏によればATIグラフィックスエンジンはさらに向上するという。「将来的には、社内でますます革新が進んでいく」と同氏は言う。
Qualcommはまた、マルチコア化も進めている。これはIntelとAMDがPCおよびサーバ用チップ向けに確立したトレンドだが、消費電力要件のためにハンドヘルドデバイス向けには行われていなかった。Intelでさえネットブック向け「Atom」ラインアップにおけるマルチコア化を、Atomの消費電力をあまりに増加させるとして断念している(これは2009年内に変わるかもしれないが)。
「IntelとAMDのプロセッサにマルチコアバージョンがあるように、マルチコアバージョンを持つことは可能だ。われわれは非常に強固なCPUロードマップを持っている。(デュアルコア)チップはかなりの時間をかけて開発を続けており、うまく進んでいる。2009年は試作段階だ。2009年中に製品として登場することはないが、Snapdragonの第1バージョンが出る」(Frankel氏)
Qualcommの「QSD8672」デュアルコアSnapdragonの処理速度は1.5GHzに到達するとみられている。
こうしたすべてのテクノロジは、市場を独占している巨大なチップメーカーIntelをどのように打ち負かすのだろうか。メインストリームのスマートフォンに言及しながらFrankel氏は語る。「間違いなくAtomとはいくつかの非常にはっきりした違いがある。ほかのアーキテクチャがどれほど省電力を強調しようと、しばらくはそのアーキテクチャがハンドヘルドデバイスに採用されることはないだろう」
(Intelは3月、大手チップメーカーTaiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)と共同でAtomチップを製造すると発表している。LG Electronicsは2月に、Atomプロセッサの「Moorestown」バージョンを搭載したスマートフォンを発売する予定だと語った)
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