4月28日、インデックス・ホールディングス株が値幅制限いっぱいまで買われ、5営業日続伸となった。売買代金も膨らみ、新興市場における存在感が高まっている。
4月24日に今8月期業績計画の大幅な下方修正を行い、今期は連結経常赤字に転落する見通しが明らかになったばかり。インデックス・ホールディングス株はここまで、新興市場の時価総額上位銘柄ながら、実態面の低迷もあり物色人気は低迷。株価は安値圏で停滞し続けてきた。数字上は業績悪化傾向に拍車が掛かっているようにみられる今、なぜ買われているのか。
24日に発表した業績計画の下方修正は、連結売上高1300億円(前期比微増)、営業利益45億円(同15.3倍)を据え置いたものの、経常損益は従来予想35億円の黒字から53億円の赤字に、最終損益は同20億円の黒字から112億5000万円の赤字に、それぞれ大幅に減額した。
保有有価証券の評価損や貸付債券の貸倒引当金の計上などにより、今8月期2月中間期に108億円の営業外損失が発生。また、海外子会社株式の減損処理や不採算事業からの撤退、それに伴う固定資産除却損などグループ再編費用も発生し、48億円の特別損失も計上する。
インデックス・ホールディングスが敬遠されてきた理由は業績面だけではない。2003年7月から保有し、他社へ貸株を行っていた学習研究社が返還されない可能性が浮上。4月19日には学習研究社株の不透明な市場流通を受け、インデックス・ホールディングスが恐喝を受ける事態にまで発展している。この事件についてインデックス・ホールディングスは被害者側だが、株式市場が好感するような材料では、もちろんない。
インデックス・ホールディングスは下方修正の翌日に中間決算を発表した。株式市場が注目したのは経常損益や最終損益の大幅な悪化ではなく、従来予想を据え置いた営業利益だ。今第2四半期(2007年12〜2008年2月)、第1四半期(2007年9〜11月)は赤字だった国内/海外モバイル&ソリューション、コマース&出版の事業収益が黒字に浮上。これでインデックス・ホールディングスのすべての事業部が営業黒字に浮上したことになる。
インデックス・ホールディングスの業績悪化の最大の理由は、相次ぐ買収によりグループの規模が管理しきれないほど膨張していたことにあった。コンテンツ系ビジネスなど収益を産むコアビジネスが強みを発揮していた一方、赤字子会社が乱立していた。そこで2007年、創業者である落合正美会長が会長兼社長として事業の第一線に復帰。猛スピードでリストラを敢行していた。
ここにきて落合会長兼社長によるリストラの効果が表面化しつつある。経常損益以下の大幅な悪化は、大胆なリストラに着手した結果。アナリストの評価は上昇しており、大和総研では投資判断を一気に2段階引き上げて「想定を大幅に上回るグループ再編が進んでいる」と評価。新光証券でも本業回復による営業利益増加を高く評価している。
インデックス・ホールディングスを「過去の主力株」と見ていた株式市場も、ようやく復活のシナリオを評価し始めているようだ。株価は4月28日、1月21日以来の2万円台乗せを果たした。懸念材料だった財務面も改善傾向に向かっており、今後もグループ再編効果を評価する動きが継続しそうだ。
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