携帯電話のフィルタリング問題が、モバイル業界に大きな波紋を広げている。青少年を守るために、未成年者には原則的に携帯電話のフィルタリングサービスに加入させるという政府の取り組みが、携帯電話向けにコンテンツを提供する事業者や青少年、保護者などから反発を受けているのだ。
守られるべきはずの青少年からは「フィルタリングかけられたら何もできない」との反対があり、保護者からは「いきなり『やります』とだけ言われても準備ができていない」と戸惑いの声が上がる。
また、携帯電話向けにコンテンツを提供している事業者からは、「言論の自由の侵害にあたる」「コンテンツ産業の発展を妨げる」との非難を受けている。
しかしその一方で、未成年者でも携帯電話を通じてアダルトコンテンツや出会い系掲示板に簡単にアクセスできたり、「学校裏サイト」と呼ばれるような掲示板で他人の誹謗中傷を書き込んだりできる。これによって性犯罪に巻き込まれたり、生徒同士のトラブルにつながったりしているのも事実だ。
関係者が納得し、受け入れられる形で、「青少年を守る」という本来の目的を達成するには、どのような取り組みが必要になるのか。現場の声を聞きながら、この問題を考えていく。
第1回目となる今回は、なぜフィルタリングサービスが導入されるようになったのか、また、そもそも携帯電話のフィルタリングとはどのようなものなのかについて見ていく。
まずは、今回の経緯を見ていこう。事の発端は2007年12月10日、総務省が携帯電話事業者4社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、ウィルコム)に対して、青少年がフィルタリングサービスに加入するような施策を取るよう要請を出したことにある。
総務省は青少年が有害コンテンツにアクセスしたり、犯罪に巻き込まれたりするのを防ぐため、携帯電話から有害なコンテンツを含むサイトにアクセスできないようにするサービス、いわゆるフィルタリングサービスを青少年が原則的に利用するよう求めた。
具体的には、
の3点だ。
つまり、親権者が「うちの子はフィルタリングサービスなんて要りません」と明確に意思表示をしない限り、18歳未満の未成年者(いままで携帯電話を持っていない人の場合は20歳未満)は一部のモバイルサイトしか閲覧できなくなるのだ。
新規契約者については、すでにソフトバンクモバイルが1月から、NTTドコモ、au、ウィルコムが2月から親権者の意思確認をしている。既存の契約者に対しても、auとソフトバンクモバイルは6月から、ドコモは8月から、利用しないという意思表示がない限り、フィルタリングサービスを適用する。
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