オーバーチュアにつづいてグーグルが10月よりサービスを開始し、にわかに注目が集まるモバイルサイト向けのコンテンツ連動型広告。シーネットネットワークスジャパンが10月25日に開催したイベント「CNET Japan Innovation Conference」では、モバイルコンテンツ連動型広告サービス「focas match」を展開するエフルートのメディア事業部ゼネラルマネージャー、天野耕太氏が「コンテンツ連動型広告の主戦場はモバイルへ〜『focas match*』を考える技術と知恵」と題して講演し、モバイル広告市場の現状とコンテンツ連動型広告の展望を語った。
現在月間ユニークユーザー数400万人を誇るモバイル検索ポータルサイト「froute.jp」を手掛けるエフルート。同社は2007年4月、モバイル検索で培ったノウハウや技術を武器に「focas match*」を開始し、モバイルコンテンツ連動型広告市場に参入した。
電通総研とアウンコンサルティングの調査によると、モバイル広告費市場の年間成長率は全体で130%前後。このうち、モバイルP4P(Pay for Performance:検索連動型広告とコンテンツ連動型広告を含む成果報酬型広告)市場に限ると成長率は160〜180%にのぼる。天野氏は「モバイル広告市場をけん引しているのはモバイルP4Pだ」と分析。モバイルP4P広告市場規模が2007年に50〜100億円、2008年に100〜170億円、2009年に150〜260億円規模へと成長するという予測を紹介した。
なぜモバイルP4P市場はこれほどの伸びが見込まれているのか。「現状の広告のみでメディアも広告主も満足ならばコンテンツ連動型広告は要らない。モバイル広告市場はユーザーからのニーズが拾いきれていない」と天野氏は指摘。「ユーザーのニーズに合った商品企画が重要」として、エフルートのモバイル広告配信サービス「focas」における取り組みを紹介した。
エフルートでは、カテゴリ型クリック保証広告の「focas category*」、モバイルサイトに検索サービスを提供する「focas search*」、コンテンツ連動型クリック保証広告のfocas match*の3つを提供している。
focas match*は、対象となるモバイルサイトの文章をクロールして解析し、特徴的な単語を抽出して文脈をよみとる。その後、広告会社の広告データベースから文脈に合った広告を取り出して掲載する。
この仕組みは、PCにおけるコンテンツ連動型広告や他のモバイルコンテンツ連動型広告と共通している。ただし、モバイルサイトにおける文脈解析は、PC向けと比較すると容易ではないという。「モバイルコンテンツは、PCと比べて圧倒的に文章量が少なく、独自の文章表現を使っていたり、絵文字を多用する傾向がある」(天野氏)ためだ。また、focas match*の課題として、動的に生成されるページや問題語句への対応などが必要だったことも明かにした。
モバイルコンテンツ連動型広告市場におけるエフルートの今後の展開については、「"ケータイには独自の世界観がある"をモットーに、他社では取り組まないものをやってきたい」と天野氏は話す。ただし、広告である限り、広告主とともに取り組む必要があるだろうし、最終的にはテクノロジーに加えて、いかに人的な面でケアができるかが重要になるとも述べる。
「エフルートからみると、コンテンツ連動という仕組みはユーザーにとって不利益な情報を排除するという手段でしかなく、目的ではない。これに勝る仕組みがあれば切り替えることもある。ユーザーの満足を得られるように、新しい要素を取り入れて進化させていかなければならない」(天野氏)
具体的な取り組みとしては、同社のモバイルコンテンツ連動型広告のシステムに文章上の感情的要素などを強化した辞書ファイルを実装したり、絵文字を含めた文脈理解を強化したりしていきたいとした。
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