ウェブサイトや電子メールにアクセス可能な、いわゆるスマートフォンと呼ばれる携帯電話が、一般市場での大量販売に向かう道を進んでいる。
Palmの新製品、価格99.99ドルの「Palm Centro」は、ビジネス向けスマートフォン「Treo」が、より洗練されたラインになり機能向上した進化版だ。一般消費者向けの携帯電話の価格とデザインで、ビジネスデバイスのデータ処理機能をすべて提供する最新の具体例と言えよう。
「われわれがスマートフォン市場として認識していたものが、急速に携帯電話市場のようになってきている。こういったスマートフォンは、これまで500ドルから600ドルの価格だった。まだその価格帯の製品もあるが、次々に多くの製品が価格を下げており、一般消費者を対象としてきている」と、iGR(旧iGillottResearch)の設立者Iain Gillott氏は述べている。
従来から米国のスマートフォン市場は、Research In Motion(RIM)の人気端末「BlackBerry」およびPalmのTreoが独占してきた。当初これらの機器は、ビジネス用電子メールの送信と受信ができる、企業向け生産性向上ツールとして考えられていた。
企業向けスマートフォン市場が好調に推移している一方で、外出先で電子メールにアクセスしたりウェブ閲覧をしたいと考える、10代の若者たちや子どもの教育に熱心な主婦層にもスマートフォンが有用だということから、通信事業体や携帯電話メーカーは、一般消費市場にも大きな可能性を見出している。市場調査会社M:Metricsによると、現在、米国で稼動中の2億1300万台の携帯電話のうち、スマートフォンはたったの4%ほどに過ぎないという。
しかし専門家の見解では、人々がより高性能な機器を求めているという明らかな兆候があるようだ。M:Metricsによると、スマートフォンの売れ行きペースは、急速に上昇しているという。現在、米国においてスマートフォンのユーザーはおよそ900万人いる。2年前から比べると、これはおよそ3倍の数字だ。
電子メールやウェブ閲覧といったものの一部は、Motorolaの人気製品「RAZR」などの高機能携帯電話でも行うことは可能だ。しかし、多くの場合その使い勝手はあまりよくない。しかも、消費者は一般に、従来のスマートフォンの大きさやデザインに満足していない。そしてもちろん、価格が大問題だ。ほとんどのスマートフォンが数百ドルもの価格なのに比べて、高機能携帯電話は通信事業者から事実上無料で提供されている。
M:Metricsの市場シニアアナリスト主任を務めるMark Donovan氏は、次のように述べている。「通信事業者および携帯電話メーカーは、スマートフォンの所有者がウェブを閲覧したりモバイル動画を楽しんだりすることで、サービスに対してより多くの料金を支出することを認識している。しかし課題は、こうした市場にアピールする機器を設計し、なおかつ手の届く価格を打ち出す点にある」
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